リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

人工授精ミスによる代理出産!?

「病院の手違いで他人の胚を人工授精した女性が無事出産」という記事を本日付AFP BB Newsで見つけました。次のような話です。

【9月23日 AFP】人工授精で妊娠した際、手違いで別の夫婦の精子と卵による胚(はい)を移植された米オハイオ(Ohio)州の女性が、元気な男の子を出産し生物学上の両親に渡した。女性の家族が25日に明らかにした。

 声明によると、同州トリード(Toledo)にある病院で赤ちゃんを出産したキャロライン・サベージ(Carolyn Savage)さん(40)と夫のショーン(Sean)さんは、赤ちゃんの生物学上の両親であるポール・モレル(Paul Morell)さんとシャノン(Shannon)さんの家族に、次のようなお祝いの言葉を伝えた。

「ポールさん、シャノンさん、双子の娘さん、そして新しく生まれた赤ちゃんの幸せをお祈りします。今後はご家族で一緒に暮らしてください」

 また、サベージ夫妻は「わたしたち家族はとても難しい局面を乗り越えようとしている。数日間はそっとしておいてほしい」と述べ、プライバシーを尊重するよう求めた。
 
 キャロラインさんは妊娠2か月のとき、クリニックから、別の夫婦の胚を移植してしまったとの知らせを受けた。このような手違いが起きるのはまれだが、その場合は中絶することが多い。だがサベージさんはカトリックの教義にのっとり中絶せずに出産し、さらに生まれた赤ちゃんは生物学上の両親に渡すと決意し、このことを出産の数週間前に国内のメディアに公表していた。

 サベージ夫妻には既に人工授精で授かった男の子を含め、3人の子どもがいる。その後流産を繰り返すなどしたため、再び人工授精をすることにした。

(以下省略)

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クリニックのミスのために、事実上、代理出産を強要されてしまったわけです。夫妻の弁護士はクリニックの責任を問おうとしているとか。当事者にとっては、どれほど「きつい」選択だったろうかと偲ばれます。

ところで、この記事からうかがい知る限り、カトリックの教義では人工受精は許容されているのですね……? そうだとすると、いわゆる余剰胚の廃棄問題はどう回避されているのでしょうか? 不思議です。