リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

卵子凍結 独身女性も容認へ

本日付朝日新聞朝刊の記事です。上記見出しの他,「生殖医学会 指針案」「独自の保存防止 ルール整備」の小見出しがあります。内容を抜粋で紹介します。

将来の体外受精に備え,卵子を凍結保存する生殖医療の技術について,日本生殖医学会は23日,健康な独身女性にも認める,とする指針案をまとめた。晩婚化が進み,将来的に妊娠を望む女性が,若いときの卵子を残したいという希望に応える一方,ルールなく技術が広がらないようにする。

日本ではこうしたルールを「学会」が決めることが多いが,いったいいつまで法律は作られないのだろうか? それとも技術の進展が激しすぎて,立法措置では間に合わないのか?

未授精の卵子の凍結保存は技術的に難しいが,がんの治療などで卵子に障害が起きる恐れのある独身女性らでは試みられている。また,いわゆる「卵子の老化」の心配から,「若いうちに卵子を凍結保存しておきたい」という声が健康な独身女性で高まっており,独自にサービスを提供する医療機関も出てきている。

もちろん,手放しで推奨できることではない。記事は日本生殖医学会理事長の吉村慶応大教授の次のコメントで締めくくられている。

健康な独身女性の卵子提供を推奨し,増やそうという意図で作った指針ではない……現状では,(卵巣がはれたりするなどの採卵の)リスクが十分に説明されないまま秘密裏に行われる恐れがある。最後の選択肢としてほしい」

それにしても,仮に分かり頃に卵子を取り出し保管しておいて,いざ「この人」と思える男性が現れたとして,「あなたの子どもを産みたい!」「若い頃の卵を取ってあるのよ!」と言われた男性は,種馬として選ばれたような気分になりはしまいか。また,後でこの男性の選択が「間違い」だったと気づいた時に,せっかくの貴重な卵子を無駄にした,という思いに駆られたりしないだろうか,そして何よりも,ここから海外のように「精子」や「卵子」をショッピング感覚で選んで「子どもを作る」時代に移行していくのだろうか……などと,おせっかいながらいろいろと心配になってしまう。