リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

映画「アフガン零年」&『侍女の物語』

今週の金曜,国際ガールズデーに行われる映画の試写会を兼ねた授業の講師を急きょ頼まれ,いろいろ映画を見ていました。今回は使わないことになったけど,衝撃的だった作品を紹介しておきます。

アフガン零年 [DVD]

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公式サイトはこちら

文字化けしやすいようなので,公式サイトにある「物語」をコピペしておきます。

父や叔父など一家の男性をみな戦争で失った少女は、貧困の中・祖母・母親と3人で暮らしている。女性が身内の男性を同伴せずに外出すると刑罰が加えられるタリバン政権下で、男性がいないということは、仕事に出ることもできず生活の糧を失うことを意味していた。母親は、少女を少年の姿に変えて働きに出すことを思い付く。「ばれたら、タリバンに殺される」と泣きじゃくる少女を、祖母は“虹をくぐると少年は少女に、少女は少年に変わり、悩みが消える”という昔語りの話でなだめながら、そのおさげ髪を切るのだった。

少年の姿となった少女は、死んだ父親の戦友だったミルク屋のもとで働き出すが、ある日、街のすべての少年がタリバンの宗教学校(マドラサ)に召集されることになり、少女もそこへ連れて行かれてしまう。コーランの授業、身の清め方。少女は、必死の思いでひとつひとつをやり過ごすが、やがてまわりの少年たちに「女だろう」と怪しまれる。「男なら名前は何と言う?」と少年たちに囃し立てられる少女に、少女をよく知るお香屋の少年が助け舟をだす。「こいつの名前はオサマだ」。しかし、その騒ぎに気づいたタリバン兵が、少女を井戸に吊るし、罰を加える。恐怖による衝撃から、少女に初潮が訪れた。少女であることが暴かれ、ブルカを被せられて牢獄に入れられた少女は、やがて宗教裁判の場に引きずり出される−−−。

2004年ゴールデングローブ賞外国語映画賞,2003年カンヌ国際映画祭カメラドール特別賞受賞作品。原題は少年のふりをする彼女につけられた名前「Osama」です。

女性を抑圧したタリバン政権下における物語。なぜ「女」に生まれただけで,こんな目に・・・という理不尽さがこみあげてきます。主人公役の少女の涙によって,ラストシーンが変えられたことも話題になりました。

いい映画でした。各地で上映されることを願ってやみません。

カナダで映画を見たマーガレット・アトウッドの『侍女の物語(Handmaid's Tale)』とイメージが重なるところもあちこちにあったので,ついでに紹介しておきます。(日本でも訳書があります。)

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)

こちらは,やはり女性が抑圧される社会を描いた近未来小説で,途中は辛いシーンが続くのですが,希望を感じさせるラストになっているのが救われます。