リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

紅茶の理論:性的同意を学ぶ

影のパンデミックを広めないために

英米ではイギリス発祥の「紅茶」のビデオで性行為における「同意」を学ぶそうです。

Huffpostが動画にリンクしているのを見つけたので、まずはご覧ください。

必ず知っておきたい「性的同意」の話。紅茶におきかえた動画を見てみよう
「相手が紅茶を要りませんと答えたなら、紅茶をいれるのをやめてください」
www.huffingtonpost.jp

要は、最初から要らないと言われたら紅茶をいれないし、最初は要ると言っていても相手が気が変わったら飲むことを強要はできないし、ましては相手が気を失っていたら無理やり口を開けて飲ませることもありえないわけで、性的同意もそのようなものだと説明しているのです。

さらに伊藤和子さんの『なぜ、それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法』(ディスカヴァー携書 2019)*1では、アメリカのプレップスクール(大学進学の準備をする高校)が1学期のすべてを使って、週1回くらいの頻度で、性行為の同意に関する講義が行われていることを紹介しています。

そこでは「紅茶の理論」はみんなの常識になっているばかりか、その理論だけでは不十分だとされ、「本当に相手がOKなのか、まず最初に確認しないと性行為をしてはいけない。まず同意を確認すること」を徹底して教えられるのだといいます。さらに、アルコールの影響を教え、「アルコールや薬物の影響で性行為を知らないうちにされてしまうリスクなどもしっかり教える」そうです。

伊藤さんも指摘している通り、日本ではそうした性教育が行われておらず、「漫画かAV」からしか性の知識を得られない人が圧倒的に多いと思われます。そしてまた、日本のポルノ描写の激しさや、女性に対する差別的・人権侵害的な描写が多いことは、世界中に悪名を馳せています。

影のパンデミックが懸念されている今、お家にいながら「紅茶の理論」を見つけてくれる人が増えますように……!

*1:昨年の3月に続いた性暴力事件に対する無罪判決、伊藤詩織さんのケース、世界の状況などが網羅されていて、超おすすめ!!