リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

性犯罪規定見直し試案 「拒絶困難」成立要件の文言変更 法務省

毎日新聞 速報 2023/1/17 12:24(最終更新 1/17 21:30)

mainichi.jp

 法務省は、刑法の性犯罪規定の見直しに向けて昨年10月にまとめた試案を改定し、17日の法制審議会(法相の諮問機関)の部会に示した。試案は、被害者を「拒絶困難」にさせて性的行為をした場合に犯罪が成立するとしていたが、加害者に抵抗しないと犯罪にならないように受け止められるとの意見を踏まえ、拒絶困難の文言を「同意しない意思の表明が困難」などと置き換えた。

 部会では、性犯罪の成立要件の見直しが焦点となっている。試案は「暴行・脅迫」「アルコールや薬物の摂取」「睡眠や意識不明瞭」など8項目の要件を例示し、これらによって相手が拒絶困難な状態になっているのに、性的行為をした場合は処罰対象にするとしていた。

 ただ、その後の部会内での議論で「被害者に抵抗する義務を課しているように読める」「相手が拒絶困難でなければ性的行為は許されるという誤ったメッセージになる」などとして拒絶困難という文言を用いることに異論が出た。

 こうした経緯から、法務省は改定版を作成。8項目の例示を維持しつつ、「性的行為に同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせたり、そうした状態に乗じたりして、性的行為をした場合は犯罪が成立する」と文言を変えて提案し直した。

 また、性交同意年齢の引き上げに関する文言も一部変更した。試案は、13歳以上16歳未満と性的行為をした5歳以上年上を処罰するとしつつ、「13歳以上16歳未満の対処能力が不十分であることに乗じた場合」という要件を付けていた。今回の改定版では、加害者が不当に「被害者に対処能力があった」と主張して処罰を免れることがないよう、この要件を削除した。

 17日の部会では、改定版に対し、被害者側から「不同意の性交が処罰対象と分かりやすく示された」などと賛意が示されたという。部会は今後、改定版を基に法改正の要綱案を取りまとめ、2月中の法相への答申を目指すとみられる。【山本将克】