リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

新旧刑法 堕胎罪

条文の比較

自己堕胎罪についてみると、旧刑法330条は重禁固一月~六月、新刑法212条は1年以下の懲役(禁固より重い刑罰)なので、厳罰化されたことが分かります。

旧刑法 第8節 墮胎ノ罪
第330条 懐胎ノ婦女藥物其他ノ方法ヲ以テ墮胎シタル者ハ一月以上六月以下ノ重禁錮ニ處ス

第331条 藥物其他ノ方法ヲ以テ墮胎セシメタル者ハ亦前條ニ同シ因テ婦女ヲ死ニ致シタル者ハ一年以上三年以下ノ重禁錮ニ處ス

第332条 醫師穩婆又ハ藥商前條ノ罪ヲ犯シタル者ハ各一等ヲ加フ

第333条 懐胎ノ婦女ヲ威逼シ又ハ誆騙シテ墮胎セシメタル者ハ一年以上四年以下ノ重禁錮ニ處ス

第334条 懐胎ノ婦女ナルコトヲ知テ毆打其他暴行ヲ加ヘ因テ墮胎ニ至ラシメタル者ハ二年以上五年以下ノ重禁錮ニ處ス其墮胎セシムルノ意ニ出タル者ハ輕懲役ニ處ス

第335条 前二條ノ罪ヲ犯シ因テ婦女ヲ癈篤疾又ハ死ニ致シタル者ハ毆打創傷ノ各本條ニ照シ重キニ從テ處斷ス

旧刑法355条 癈篤疾(はいとくしつ)とは障害を負わせること、毆打創傷とは傷害罪のことを意味しています。

第二十九章 堕胎の罪
(堕胎)
第二百十二条 妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、一年以下の懲役に処する。
(同意堕胎及び同致死傷)
第二百十三条 女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させた者は、二年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(業務上堕胎及び同致死傷)
第二百十四条 医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、三月以上五年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させたときは、六月以上七年以下の懲役に処する。
(不同意堕胎)
第二百十五条 女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(不同意堕胎致死傷)
第二百十六条 前条の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。