リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

パートナーの同意書問題

配偶者同意は未婚では不要のはずなのにいろんな形でハードルが課されているのが実態


Cクリニックの例:

4.手術同意書の説明
手術日が決まり予約していただきましたら、同意書をお渡ししますので、当日までにご用意下さい。同意書には、お二人のご住所、氏名等は必ずそのご本人が書き、捺印していただきます。

なお「配偶者」とはご結婚していなくても、お相手の男性の方・パートナーという意味です。

この同意書(手術同意書)は、提出が義務付けられており、配偶者または相手の男性の同意が原則として必要となります。もしお相手の分の同意書がご用意できない場合は、事前にご相談ください。

上記では明らかに「未婚」パートナーの同意書を求めている。次の例では本人とパートナーが未成年の場合は、保護者・親権者の同意を求めている。つまり女性からしたら、自分の保護者、相手の男性と相手の保護者と最低3人の「同意」を取り付けなければならない。まさか保護者・親権者って両親ではないよね? いずれにしても、ものすごくハードルが高い。


Oクリニックの事例:

中絶の同意書が必要な理由


人工妊娠中絶手術を受ける場合、中絶手術の「同意書」の提出が必要です。これは、母体保護法と呼ばれる法律によって定められています。この母体保護法には、本人及びパートナーの同意を得た上で、中絶手術が行えると規定されています。そのため、基本的にはご本人・パートナーの同意書への署名・捺印が必要です。また、18歳未満の場合は、保護者・親権者の同意・署名が必要です。


中絶手術は、基本的にご本人とパートナー双方の同意が必要ですが、下記のようなケースでは、ご本人の同意だけで中絶手術を行うことが可能です。

・強姦等の性犯罪によって妊娠したとき
・相手が亡くなられているとき
・相手が誰かわからないとき
同意書に関してご不明点がある方は、お気軽にお問合せください。

以下は浮気の場合。


Tクリニックの事例:

同意書の必要性
妊娠が成立した場合、たとえそれが「望まない妊娠」であったとしても、出産するかしないかはご本人と男性パートナーの両者が最初に熟慮すべき問題になります。十分に話し合い納得するまで協議をして、妊娠週数が21週を超えないように早めに意思決定の判断をすることが求められます。「同意書の必要性」について述べます。


同意書はなぜ必要?
母体保護法の第14条の前文に「指定医師は…(中略)…本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。」と規定されていることから、「同意書の必要性」が法律上生じてきます。
・ここでいう配偶者とは、民法上で「法律上婚姻関係にある者(夫または妻)を一方からみて他方をいう称号」になります。
・またパートナーとは配偶者よりもっと広い概念になり、法律上婚姻関係にある場合が配偶者で、それ以外の場合がパートナーになります。配偶者の同意書は法律上必須ですが、パートナーの同意書は法律上は必須ではありません。
・結婚していて今回の妊娠が配偶者の子供ではない場合は、子供の父親(パートナー)の同意書と配偶者の同意書の2通が必要です。配偶者の同意書は法律上必須になります。


中絶手術の「同意書」とは
・中絶手術の法的根拠は「母体保護法」に規定されています。「母体保護法」は昭和23年に制定された古い法律です。
母体保護法の第1条は「母性の生命健康を保護することを目的とする。」として、法律の目的を示しています。
・第14条1項1号の「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」、に対して、第14条の前文に「本人及び配偶者の同意を得て、妊娠中絶手術を行うことができる。」と規定されています。 したがって、中絶手術の「同意書」はこの「母体保護法第14条1項1号」をもとに以下のようになっています。

Tクリニックの同意書を確認する

同意書なしで中絶手術は可能か?
・「同意書なしで中絶手術」ができる場合は、母体保護法第14条2項に「前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の同意だけで足りる。」とあります。
・未婚の場合は、配偶者に当たらないので、必ずしも同意書は必要ありません。
・ご予約当日、来院時に「同意書」へのサインの必要性や、中絶手術の注意点、手術費用などの説明があります。
・詳細は個別の事情によって異なりますので、ご気軽に病院までお早めにご相談ください。
お問い合わせいただいた内容も含めて、患者様の診療に関わる全ての内容のプライバシーは守られていますのでご安心ください。


パートナーがわからないときも中絶手術の「同意書」は必要?
・パートナーがわからない又はパートナーと連絡が取れない、パートナーの同意が得られない場合や、パートナーが既に亡くなっている、などのケースでは、ご本人の同意だけで、パートナーの同意書は必要ない場合がありますので、詳細は各病医院にお問い合わせください。
・レイプによって妊娠した場合は、母体保護法第14条1項2号「暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」に該当する場合があります。
・ご記入に関するご質問は当院までお電話いただき、お問い合わせください。


Tクリニックで「同意書」を提出する流れ
当院では、以下のようにホームページからダウンロードできる「同意書」をご用意しております。


パートナーの同意を得られる場合
「同意書」に、ご自身とパートナーの情報を事前に記入して、手術当日の来院時にご持参いただいています。
プリンターやパソコン・スマホの関係上、「同意書」をダウンロードして印刷できないときは類似の「同意書」を手書きでも結構ですので作成していただき、記入してご持参ください。なお、パートナーとご一緒に来院される場合は、当院で「同意書」を記入していただきますので、「同意書」の持参の必要はありません。


パートナーの同意を得られない場合
「パートナーがわからないときも中絶手術の「同意書」は必要?」に準じます。
当院までご事情を伝えていただきますようお願いいたします。
記入に関してご不明な点がある場合も当院までご連絡ください。

法的に不必要な文書を出さずにすむために、どうして医療施設にプライバシーを開示して「許可して」もらわなくちゃならないのだろう。既婚者が浮気した場合に、夫と浮気相手の両方の同意書を出させるというのもプライバシーの侵害だよね。