リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

同性婚と中絶の権利、北アイルランドにも拡大

AFP 2019年10月22日 12:51 発信地:ベルファスト/英国

【10月22日 AFP】英国で22日、同性婚と人工妊娠中絶に関する権利が北アイルランドにも拡大された。英本土に沿った画期的な動きだが、怒りの声も上がっている。

 英議会は7月、北アイルランドでの中絶解禁を承認し、合法的に中絶医療を受けられるようにするとともに、同性間で婚姻関係や法的に承認されたパートナー関係を結ぶことを認めていた。


 これは、英国の他の地方とおおむね同じ規定を施行するための措置で、北アイルランド議会による修正の期限は10月21日とされた。2017年1月に解散したままとなっていた同議会は21日に一時的に再開されたものの、野党の支持が得られず、英議会が可決した改正案に修正を加えることはできなかった。

 北アイルランド以外のイングランドウェールズスコットランドでは、すでに中絶と同性婚は合法化されている。

 英国のジュリアン・スミス(Julian Smith)北アイルランド相は英下院で、中絶を禁止する法律は22日午前0時(日本時間同8時)に廃止され、刑事訴追は一時停止されると言明。また、同性間のパートナー関係を認める規定の概要を来年1月13日までに示すと述べ、「これにより、遅くとも2020年のバレンタインデーの週までに一例目の同性間の民事婚が行われる」と説明した。

 北アイルランド議会での審議の出席者は、中絶に反対する民主統一党DUP)の所属議員がほとんどだった。主要野党シン・フェイン(Sinn Fein)党の議員が欠席する中、北アイルランドの権力分担を定めた法律に基づいて自治政府を発足させることはできず、立法措置は実現しなかった。

 議場を出たDUPのアーリーン・フォスター(Arlene Foster)党首は「とても悲しい日だ」と述べた。「今日という日を祝おうという人たちがいるのは知っている。そんな人たちに『今日という日を悲しみ、これは人間の尊厳と人間の生命を侮辱するものだと信じている私たちのことも考えてほしい』と言いたい」

 シン・フェイン党のミシェル・オニール(Michelle O'Neill)副党首は、DUPが主導した北アイルランド議会の一時再開は「人気取り」で、「政治制度への一般の人の信用をさらに失墜させるだけだ」と述べた。さらに「DUPが初めて議会を開いたのは、私たちの社会の権利の一部分を否定するためだったことを一般の人たちは知っている」と述べ、今回の権利拡大を歓迎した。(c)AFP/Joe STENSON

www.afpbb.com

生理の悩み

我慢しなくていいんだよ! できるだけ快適なサービスを求めていこう

北原みのりさんの記事を読んで思ったことを。
生理で『諦める』のはおかしい

私は中学生の時に初経があったのだけど、体育を休むのが嫌で(当時は、「あいつ生理か?」みたいなからかいの目にさらされたものだ。今はどうなんだろう?)タンポンを使ってみようと決意した。最初は入れるのに苦労したけど、使い始めたらとても快適で便利、気持ちも解放された。なので、以前から機会があるたびに周囲の人に進めてきたのだけど、意外なほどタンポン使用者が少ないのにびっくりさせられる。

数年前、生理用品のコーナーを調べたら、タンポンの種類が激減していたことにびっくり! 私の若い頃の方が、かえってチョイスがあったものだ。日本の性教育は女性の生理についてきちんと教えていないためかもしれない。

月経は女性にとっては生涯のうち長期に渡って関わることで、金のあるなしに関わらず、誰にでもふりかかることだ。なので海外では「生理貧困」「タンポン税」として問題とされ、特に、お金がなくて生理用品を買えないために学校を休む少女がいることがイギリスの調査で判明してからは、生理用品を支給するのは男女平等のために不可欠だという意識が抱かれるようになってきた。

今ではイギリスやフランス、スコットランドなど、生理用品を無料配布する国も出ている。アメリカでもオバマ時代のアフォーダブル・ケア・アクト(ACA)で無料になる州もあるそうだ。トランプ政権がこれを覆そうとしているのは、男女平等に逆行する動きである。

月経がなかったら子どもも生まれないわけで、手厚いケアを行っていくことは女性たちが自分の性をポジティブに捉えることにつながって、少子化対策になるんじゃないかと思うのだけど……。

10月20日のワークショップは延期!

10月20日に金沢で、憲法学者稲葉実香先生にご登壇いただく予定だった「性と健康を考える専門家の会避妊・中絶ケアプロジェクト」と「ラブピースクラブ」共催の第四回ワークショップ「非犯罪化から権利へ――フランスの妊娠中絶法制」は、北陸新幹線不通のために延期になりました。

新幹線再開後、改めて日程を設定してお知らせいたします。

お間違えのないようお願いいたします!

「赤ちゃんの死」に直面した母親たちの悲しみ――心の痛みに寄り添うケアの現場

「社会から認められない死」になっている

日本産科婦人科学会は、妊娠22週未満で妊娠が終わることを「流産」、22週以降を「死産」としている。同学会によると、妊娠の15%前後が流産するといわれており、そのうち12週未満の早期流産が9割を占める。厚生労働省の実態調査では、妊娠を経験した女性のうち約4割が流産したことがあるという結果もある。

法令上は妊娠12週以降に亡くなった胎児の出産を死産と言い、死産届が必要となる。2017年の死産数は2万358件、この年までの10年間で累計24万件を超える。生後1年未満の死亡である乳児死亡は年間1761件だった。


聖路加国際大学大学院(東京都・中央区看護学研究科教授・研究科長で、医療者や当事者らでつくる聖路加国際大学ペリネイタル・ロス研究会の設立メンバーである堀内成子さんは、こう指摘する。

「非常に多くの女性が赤ちゃんを亡くす経験をしています。しかし、生まれる前後に亡くなった子どもの死は、ほとんど語られることがありません。ほんのわずかしかこの社会にいないので、『社会から認められない死』になっています」

news.yahoo.co.jp

フランスの中絶事情

中絶あれこれ 中島さおり 2014.07.27

LOVE PIECE CLUBのサイトを眺めていたら、中島さおりさんによる次の文章に行き当たった。

中絶あれこれ

5年前の文章で、中絶ピルの使える期間にはいまや大きな違いがあるけれど(フランスでどうかは知らないけれども)、それ以外は今も何も変わっていない(残念なことにと言うべきか……)。

それ以上に、次の指摘、重要だと思うのでシェアしておきます。

 フランスでは中絶のことをIVG(Interruption volontaire de grossesse)言うが、これを忠実に訳すと「自由意志による妊娠中絶」になる。日本の「人工妊娠中絶」という表現と明らかに違うのは、「自由意志による」という部分だ。女性が自分の意志で自分の体のことを決めるという「自己決定権」が、この言葉のなかにすでに織り込まれているのである。テクニカルな面しか反映しない「人工妊娠中絶」にはそれがまったく存在しない。

10月20日に金沢で、憲法学者稲葉実香先生を迎えて、性と健康を考える専門家の会避妊・中絶ケアプロジェクトの第四回ワークショップ「非犯罪化から権利へ――フランスの妊娠中絶法制」を開きます。リプロに関する女性の権利意識がとても高いフランスで、妊娠や中絶がどう考えられてきたのか、一緒に学びましょう!

詳しくはまた情報を更新するので、時々、チェックしてね!

オンライン診療後に「薬剤師の目の前で服用」のナゾ

緊急避妊薬を必要とする人に心理的負担

この記事の秀逸なところにアンダーラインを引いておく。

 緊急避妊薬は「アフターピル」とも呼ばれ、避妊なしの性交、経口避妊薬の服用忘れ、避妊具の不適切な装着や破損、性的暴力を受けた際などに、緊急避難的に用いる。我が国で承認されている緊急避妊薬は、性交後72時間以内の服用が必要で、迅速な対応が鍵となることから、オンライン診療での処方が認められたのだ。性的暴力を受けた女性にとって対面受診のハードルは高く、オンライン診療によって、そのハードルを下げ、望まない妊娠を防ぐ目的もある。

 しかし、薬の交付はオンラインではできない。また、転売を防ぐ仕組みも必要だ。そこで緊急避妊薬は、オンライン診療を行った医師によって処方された院外処方箋に基づいて薬局が交付し、「薬剤師の面前で内服する」という条件が付けられた。その際、避妊の成否などを確認するため、約3週間後に確実に受診(対面)するよう、指導することも盛り込まれた。なお、対応するのは「研修を受けた薬剤師」とされている。

 こうした条件を見ると、受診のハードルが下がったとは、とても思えない。そもそも、性的暴力を受けて、医師の対面診療を受けたくないと感じている女性が、薬剤師の目の前で服薬するのは困難ではないだろうか厚生労働省の統計によると、人工妊娠中絶は2017年度で16万4000件に上る。同指針に示されたスキームでこの数が減らせるのであれば、喜んで貢献したい。しかし、この話はオンライン診療で緊急避妊薬の処方を可能にするための、苦肉の策のように思える。


medical.nikkeibp.co.jp

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 しかし、薬の交付はオンラインではできない。また、転売を防ぐ仕組みも必要だ。そこで緊急避妊薬は、オンライン診療を行った医師によって処方された院外処方箋に基づいて薬局が交付し、「薬剤師の面前で内服する」という条件が付けられた。その際、避妊の成否などを確認するため、約3週間後に確実に受診(対面)するよう、指導することも盛り込まれた。なお、対応するのは「研修を受けた薬剤師」とされている。

 こうした条件を見ると、受診のハードルが下がったとは、とても思えない。そもそも、性的暴力を受けて、医師の対面診療を受けたくないと感じている女性が、薬剤師の目の前で服薬するのは困難ではないだろうか厚生労働省の統計によると、人工妊娠中絶は2017年度で16万4000件に上る。同指針に示されたスキームでこの数が減らせるのであれば、喜んで貢献したい。しかし、この話はオンライン診療で緊急避妊薬の処方を可能にするための、苦肉の策のように思える。


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 しかし、薬の交付はオンラインではできない。また、転売を防ぐ仕組みも必要だ。そこで緊急避妊薬は、オンライン診療を行った医師によって処方された院外処方箋に基づいて薬局が交付し、「薬剤師の面前で内服する」という条件が付けられた。その際、避妊の成否などを確認するため、約3週間後に確実に受診(対面)するよう、指導することも盛り込まれた。なお、対応するのは「研修を受けた薬剤師」とされている。

 こうした条件を見ると、受診のハードルが下がったとは、とても思えない。そもそも、性的暴力を受けて、医師の対面診療を受けたくないと感じている女性が、薬剤師の目の前で服薬するのは困難ではないだろうか厚生労働省の統計によると、人工妊娠中絶は2017年度で16万4000件に上る。同指針に示されたスキームでこの数が減らせるのであれば、喜んで貢献したい。しかし、この話はオンライン診療で緊急避妊薬の処方を可能にするための、苦肉の策のように思える。


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