リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ドイツの委員会、中絶の正式合法化を勧告

DW Christoph Hasselbach, 04/15/2024April 15, 2024

German commission recommends officially legalizing abortion – DW – 04/15/2024

原文はドイツ語だそうですが、英訳されたものから日本語に仮訳します。

ドイツ政府によって任命された委員会は妊娠初期12週間の中絶を正式に合法化するよう勧告


 政府が任命した委員会は、妊娠12週以内の中絶を正式に合法化するよう勧告した。

 ドイツでは、妊娠中絶は刑法218条に規定されているように、正式には犯罪行為であるが、妊娠初期3カ月以内に行われ、女性がカウンセリングを受けた場合には、中絶は免除される。また、強姦や、女性の生命や身体的・精神的健康が危険にさらされている場合には、中絶が明示的に認められている。

 しかし、この法的枠組みは30年ほど前のもので、長い間批判されてきた。社会民主党SPD)、緑の党自由民主党(FDP)からなるドイツの連立政権は、この問題を再検討しており、中絶法の自由化を望んでいる。月曜日、政府が任命した委員会はその勧告を発表し、憲法で禁止されている古い人工妊娠中絶を廃止するよう求めた。

 SPDの政治家カーチャ・マストは、この勧告の新しい点は、早期の中絶がもはや刑事犯罪ではなくなることだと述べた。


カトリック教会が懸念
 宗教団体や協会の反応は実にさまざまだ。カトリックのハイナー・コッホ・ベルリン大司教は『カトリック通信』に対し、「母親のニーズと懸念、そして胎児の保護の両方を重視している」として、現行の規制を維持することを望むと述べた。ドイツカトリック中央委員会は、妊娠初期の胚の保護が弱くなるとして、この決定に批判的である。

 一方、プロ・ファミリア協会は、新しい勧告を歓迎し、中絶の完全な非犯罪化と強制カウンセリングの廃止を提唱している。

 政治的な反対は、予想通り保守派からだった。最大野党であるキリスト教民主同盟(CDU)の党首フリードリヒ・メルツは、このような改革は "この国に大きな社会的対立を持ち込むことになる "と警告した。CDUのバイエルン州の姉妹政党であるキリスト教社会同盟CSU)のドロテ・ベアは新聞のインタビューで、「胎児の生命保護がもはや役割を果たさないらしいことに驚きを隠せない」と表明した。

 右派のポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」もこの措置に反対しており、社会主義政党の左翼党は政府に対し、勧告を法律案にしてすぐに提出するよう求めている。

 もし連立政権がそうすれば、CDU/CSUとAfDは連邦議会で手を組んで反対することになるだろう。CDU/CSUはこれまでAfDとの協力を拒否してきただけに、ジレンマに陥っている。

 CDUが、あるいはAfDが、あるいはその両方が、このような法案をドイツ連邦憲法裁判所に提訴した場合、同様のジレンマに直面する可能性がある。1990年代には、中絶法を自由化する連邦議会決議が連邦憲法裁判所で一度失敗している。その結果生まれた妥協案が、今問われている現行法となった。


中絶の「広告禁止」はすでに覆された
 政府は中絶に関連する他の措置をすでに実施しているか、実施中である。中絶の広告禁止として知られる219a項はすでに廃止された。この法律のもとでは、中絶に関する情報を公に提供した医師は起訴される可能性があり、多くの医師が起訴された。

 歩道でのハラスメントと呼ばれる行為の禁止は、現在立法手続きを進めている。これは、妊娠カウンセリングや中絶を行なうカウンセリングセンター、病院、医院の近くで、中絶反対活動家が積極的に抗議することを軽犯罪とするものである。


アメリカ、アイルランド、フランスにおける中絶
 アメリカにおける現在の議論は、この問題がいかに両極化しているかを示している。2022年の最高裁判決以来、アメリカの各州は独自の中絶法を規制できるようになり、中絶に厳しい制限を再び課した州もある。アリゾナ州最高裁は、南北戦争が進行中で、女性に選挙権が認められていなかった1864年に制定された法律を復活させることに賛成している。

 しかし大統領選挙戦では、共和党の大統領候補ドナルド・トランプでさえ、中絶禁止を支持することを表明していない。3月のロイター/イプソスの世論調査によると、アメリカ国民の57%が、中絶はほとんど、あるいはすべてのケースで合法であるべきだと考えている。

 同じくカトリックの伝統が強いアイルランドで2018年に実施された国民投票では、中絶合法化に賛成する人が3分の2を占めた。当時、以前は社会的に保守的だったこの国でこれほど明確な結果が出るとは、多くの人が予想していなかった。

 一方、フランスは今年初め、憲法に中絶の権利を明記し、"妊娠を終了させる自由 "を保障した。元パリ大司教のミシェル・オーペティは、ソーシャルメディアXで憤慨した。フランスはどん底に達した。"全体主義国家になってしまった"。もしドイツ政府が委員会の勧告に従えば、ドイツもまたこのテーマについて激しい議論に直面することになるだろう。


 この記事の原文はドイツ語です。

Reuter, By Friederike Heine, April 16, 20242:26


Abortions in first 12 weeks should be fully legalised in Germany, commission says

ドイツでは最初の12週間の中絶は完全に合法化されるべきであると委員会が発表

[ベルリン 15日 ロイター] - 政府が任命した委員会は15日、ドイツでは妊娠12週以内の人工妊娠中絶についてはすべての制限を撤廃すべきだが、胎児の生存可能期間(22週)以降の人工妊娠中絶については禁止を維持すべきだと述べた。
 ドイツの女性は現在、暴力犯罪の被害者などの例外を除き、通常妊娠12週以内に合法的な中絶をするためにはカウンセリングが必要である。母親の命が危険にさらされている場合は、中絶に時間的な制限はない。


 医学、心理学、倫理学、法律の専門家からなる18人の委員会のメンバーであるコンスタンツ大学の法学教授、リアーネ・ヴォルナー氏は、「妊娠初期の中絶の根本的な違法性は容認できない」と述べた。
 「法律家は行動を起こし、中絶を合法化し、罰することができないようにすべきである。
 委員会の助言を受け入れるかどうかは、オラフ・ショルツ首相率いる中道左派連合の判断に委ねられる。

 委員会は、妊娠初期と後期の間のルールを決めるのは議員であるべきだと述べた。


 カール・ラウターバッハ保健相は、特に宗教的に保守的な南部において、女性の中絶へのアクセスと望まない妊娠をした女性への適切なケアに関して「早急な対応が必要だ」と述べた。
 しかし、ラウターバッハも、彼と一緒に勧告を受けた司法大臣や家族大臣も、法律草案の作成時期については明言しなかった。


 「アメリカやポーランドのような「社会を分断するような議論はもう必要ない。「我々は詳細に議論し、政府と議会としてこれらの提案にどう対処するか、秩序あるプロセスを提案する。
 現在の立法期間は2025年までであり、保守野党の一部の議員は、予定されている改革があれば憲法裁判所に提訴すると述べている。
 中絶の権利は、アメリカやヨーロッパのいくつかの国で、有権者の間で賛否が分かれる問題となっている。
 ポーランドの2021年の中絶法改正は、ヨーロッパで最も敬虔なカトリック国のひとつであるポーランドに保守的な政策が根付いたとして大きな話題となった。今年初め、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、欧州連合EU)が基本権憲章で中絶の権利を保障することを望んでいると述べた。
 2022年、ドイツは、妊娠中絶を提供する医師がその手続きに関する情報を広めることを禁じていたナチス時代の法律を廃止した。
取材:フリーデリケ・ハイネ 編集:レイチェル・モア、フィリッパ・フレッチャー、ピーター・グラフ

処方箋なしで緊急避妊薬を試験販売 今年度も継続「データ不十分」

朝日新聞デジタル 4/16(火) 17:30配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/d325c45b76816c7aaa70e8f0d7c2847a684934cb

 望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬を医師の処方箋(せん)なしで販売する研究事業で、日本薬剤師会は、2023年11月下旬からの2カ月間に2181件の販売実績があったと公表した。

 事業は、処方箋が不要な「OTC医薬品」にするためのもので、今年3月末までに終わる予定だった。だが、厚生労働省は「まだ十分なデータが確保されていない」と判断した。研究事業に参加する薬局を増やす方向で、今年度も継続する。

 緊急避妊薬は排卵を遅らせる薬で、性交後72時間以内にのむと8割の確率で避妊できるとされる。購入するには医師の処方箋が必要で、近くに受診できる医療機関がなかったり、受診に心理的な負担を感じたりする人が薬を使いづらいことが課題になっていた。

 研究事業では、全国145の薬局が処方箋なしで試験販売し、購入状況や、薬剤師の説明が十分だったかといった購入者へのアンケートを通して、薬局で適正に販売できるのかを検討する。

 日本薬剤師会によると、23年11月28日~24年1月31日の販売実績は全国で2181件。最多は東京都の266件で、神奈川県が231件、大阪府が169件だった。青森、秋田、山形、島根、山口の5県は10件未満だった。

既に防衛費の半分を占める「兵器ローン」 ますます借金しやすくする法が成立、防衛費全体が膨れ上がる恐れ

東京新聞 2024年3月29日 06時00分

「兵器ローン」という言葉はどこかで聞いていたが、そういうことだったのか……と、改めて愕然とした。

既に防衛費の半分を占める「兵器ローン」 ますます借金しやすくする法が成立、防衛費全体が膨れ上がる恐れ:東京新聞 TOKYO Web

自衛隊の武器を最大10年の長期契約でまとめ買いできる時限法を恒久化する改正法が28日、参院本会議で自民、公明両党や日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。


「兵器ローン地獄」が来るかも…「例外」だった高額武器の分割払いを「当たり前」にできる法案が衆院を通過:東京新聞 TOKYO Web

「少子化」 問題のジェンダー分析

人口問題研究 (J. of Population Problems) 56-4 (2000. 12) pp. 38~69 特集:少子化と家族・労働政策 その2

「少子化」 問題のジェンダー分析 目黒依子他2000年

要旨

 少子化現象を女性の社会的役割観や家庭内のジェンダー関係の視点から分析し, 少子化に対する政策的含意, 提言を導き出すのが本研究の目的である1).
 本研究では, 少子化現象が「結婚回避」, 「出産回避」であると位置づけ, [1]社会システム, [2]価値観・意識, [3]結婚・出産・育児コスト感の3つの要因群に注目し, 各種調査データ等を分析, 検討,以下[1]~[3]の結果を得た.
 [1]社会システムとしては, 戦後の企業中心主義と「夫は稼ぎ手, 妻は主婦」という近代家族が一般化し, ジェンダー政策としても専業主婦優遇制度が設けられてきたものの, 女性のライフイベントの多様化, 女性の自立と自己責任を目指す社会の指向, 国際的なリプロダクティブ・ライツの思想など, 従来の枠組みとは不整合な要素が登場している. [2]価値観・意識については, ①1980年代にジェンダー意識の変化がみられるが, 男性の側の変化が小さいため男女差, 世代差が大きい. インタビュー調査などから, ②結婚のメリットは男女ともに減少しているが, 結婚のデメリットはとくに女性にとって大きいと意識されている, ③女性は, 自己犠牲にならないような結婚相手を求めているが, 男性の側には, 結婚相手について, とくにイメージがない, ④出産についても, 女性は自分の仕事に与える影響を心配しているが男性は無頓着, などのギャップが見出だされた. [3]結婚・出産・育児コスト感では, 複数の調査データの分析から, ①家事負担感が大きいと出産意欲は低く,夫の家事・育児参加をはじめとする家庭役割の分担が少ないほど出産意欲が低くなること, などを明らかにした.
 以上に示した少子化現象の要因分析から, とくに, 「結婚・出産・育児コスト感」 の軽減が急務である. そのためには, 「少子化対策」 として以下に示す3つのレベルの政策提言をする.
 第1に出産・医療システムのなかにリプロダクティブ・ライツ及びヘルスの観念を殖えつけ, 女性の生涯健康という観点に立ったシステムに組み直す, また地域の実情に即した育児サポート・システムを整備する,
 第2に 「男性は稼ぎ手, 女性は専業主婦」 という固定的な性役割を前提としたジェンダーシステムを変革する,
 第3に, 学校教育や市民教育を通じて新しいジェンダー意識やリプロダクティブ・ライツ及びヘルスの観念を普及させる, などの施策を推進する必要がある.

日本における少子化問題の特殊事情 ―晩婚・晩産化とリプロダクティブ・ヘルス/ライツ ―(2)河内優子

共立国際研究 : 共立女子大学国際学部紀要

https://kyoritsu.repo.nii.ac.jp/record/2306/files/%E5%85%B1%E7%AB%8B%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%A0%94%E7%A9%B629_3kawauchi.pdf:title=日本における少子化問題の特殊事情 ―晩婚・晩産化とリプロダクティブ・ヘルス/ライツ ―(1)河内優子(2012)]

日本における少子化問題の特殊事情 ―晩婚・晩産化とリプロダクティブ・ヘルス/ライツ ―(2)河内優子(2019)

(2)の方から少し書き出してみる。

本来,リプロダクティブ・ライツは,女性のみに限定することなく男性,女性双方の人間の基本的権利と考え
られるものである。だが歴史的にみて女性が妊娠・出産についての主導権を持たず,性的に抑圧されてきたという現実があること,また妊娠・出産,人口妊娠中絶,育児といった人間の実際の再生産プロセスにおいて,女性が担い,課される身体的,精神的,社会的負担が男性に比べ圧倒的に大きい,といった状況が重視され,主として女性の「リプロダクティブ・ライツ」に力点が置かれるようになった(4)。
 たとえば伊佐智子は「出産はもっぱら女性の身体に生じる現象であり,基本的人権における『身体の不可侵性』の原則,ならびに,これからの人生への選択,という意味での自由,幸福追求という原則にもとづいて,生むかいなかの決定は女性自身にその権限があり,リプロダクティブ・ライツは,女性の基本的な人権としての性格を持つと考えられる」と主張している。
 ところで,このリプロダクティブ・ライツ概念の出現には,歴史的に遡り,大きく二つの流れがある。第1 に欧米における中絶権獲得の動き,そして第2 に人口問題への反発である。そして後者にはさらに二つの流れがある。一つは途上諸国に広がる人口爆発に対する人口管理政策(Birth Control)への抵抗であり,もう一つが欧米先進諸国での優生学に基づく人口管理政策に対する女性の抵抗である(5)。いずれもその中心には,国家管理に対する女性の自己決定権の獲得が据えられている。
 第1 の流れは,1960 年代,欧米で勢いをもった第2 派フェミニズム運動に始まる。当時,男女平等の制度の確立と女性の労働権を求める機運の高まりとともに,経済的自立と身体と性の自立を求め,自分の身体をコントロールする声が女性の中からわきあがった。さまざまな「セルフ・ヘルプ(自助)」グループが作られ,性と生殖に関する女性の選択権を要求として掲げる「リプロダクティブ・フリーダム」獲得運動へと展開していった。
 旧来,女性は受け身で,性,セックス,生殖などについて何も知らない方がよいとされ,自分で決めることもできず,夫に重要な決定を委ねてきた歴史がある。だが,そうした旧弊に抵抗し,自分の身体を知り,自分でコントロールしようという「身体こそ,わたしたち自身」という考え方が,まず広がり,それが「子どもを産むか産まないかのところで自決権がなければ,女性の本当の自立はない」という主張につながっていった(6)。
 こうした「リプロダクティブ・フリーダム」を保障する権利がリプロダクティブ・ライツであり,女性の自立を求める運動として,妊娠中絶における女性の自己決定権を求める(7)運動が世界的に波及していった。そして実際,欧米各国で,イギリス1968 年,アメリカ1973 年,フランス1975 年と,中絶合法化が相次ぎ実現していった。ちなみに日本では例外的に,戦後の特殊事情を背景に定められた1948 年の優生保護法の規定により堕胎罪が空文化され,中絶は戦後早い段階で実質的に合法化されていた(8)。
 だが中絶論争においては,複雑に絡む問題があった。女性の特質としての母性への根強い価値観,人種差別や民族浄化の歴史に不妊,堕胎の強制があったこと,世界の文化・宗教の独自性の尊重,といったことなどである。それらをめぐる議論は容易に帰着点を見出せるものではない。中絶法反対を無批判に訴えることはできず,そうした問題をめぐる論争が,当時のフェミニズム内部にも存在した(9)。また今日もなおこうした点は,リプロダクティブ・ライツをめぐる議論において,正当性をめぐる混乱に通じているように思われる。
 第2 の流れは,1972 年に出版されたローマ・クラブの「成長の限界」に代表される,地球的規模での人口爆発の脅威とその資源・環境への破壊的影響,という議論の広がりの中で高まった論調である。とくに途上諸国や欧米貧困層女性への強制的避妊技術,またアメリカで認可されなかった有害な作用のある避妊薬や重大な副作用が確認されていた避妊子宮内リング等が途上国への近代的避妊手段として大量に輸出されたことなどの問題が世界的に問題化した(10)。そしてこうした問題に抵抗する様々な動きが,主として途上諸国の女性達の人口管理政策へ反対する「リプロダクティブ・ライツ」の流れに収斂していったのである。
 1974 年に開催された第1 回ブカレスト世界人口会議では,国連や先進諸国(とくにアメリカ)が,人口調整のために家族計画の重要性を主張した。それに対し途上諸国側は「開発は最善の避妊法である」と主張し,人口問題の解決に経済成長が不可避と主張した。当時,途上諸国が主張していた「新国際経済秩序(NIEO)」がその背景にあった(11)ことはいうまでもない。
 その後1980 年代になると,途上諸国のフェミニスト達に,欧米に端を発した性と生殖に関する自己決定権を柱とする「リプロダクティブ・ライツ」概念が急速に広がっていった。彼女たちは,途上世界の出生率低下は女性自身による出産コントロールにかかっており,それは基本的に女性の社会的・経済的状態次第であるとした。何より女性が自身の身体に関する決定権がない現状からの脱却こそ最重要であるとの主張であった。先進諸国がグローバルな環境保護追求のために途上世界の出生率低下を図り,その目的のために途上世界の女性へ強行してきた避妊・不妊施策への抵抗にほかならなかった。
 この対立関係は1984 年に表面化し,紛糾した。まず第2 回国際人口会議がメキシコシティーで開催された。アメリ国務省国際開発局により「人間の尊厳と家族の尊重を踏まえた真に自発的な人口プログラム」こそ何より重要,との表明があり(12),人口妊娠中絶,非自発的断種,その他の強制的人口抑制策が一括りで批判され,それらを支援している途上国や国際機関に対する財政援助が停止されることになった(13)。一方,オランダのアムステルダムで同年開催された「女性と健康国際会議」では,“Population Control No ! Women
Decide !(人口管理反対! 女性が決める!)”をスローガンに,南北フェミニストのネットワークが集結した(14)。女性の意思や健康を無視した多くの人口政策の現状が報告され,これを契機に女性の地位改善を出生率引き下げの鍵とする捉え方が広まっていった。
 そして当時,欧米フェミニズムの運動は,たんなる中絶の権利獲得から,幅広く世界的な女性の「リプロダクティブ・ライツ」保障を目指すようになった。人工妊娠中絶承認とともに,強制的不妊処置や不本意な人口妊娠中絶への反対を強調することで,一貫して女性の自己決定権が強力に押し出されるようになった。こうした流れが「リプロダクティブ・ライツ」を権利概念として醸成し,主導する形でカイロ会議へとつながっていったのである。
 かくしてリプロダクティブ・ライツは,「リプロダクティブ・ヘルスケアの権利」と「リプロダクティブ自己決定の権利」という二つの原則から構成される(15)ようになった。つまり,リプロダクティブ・ライツはリプロダクティブ・ヘルスの全分野を包含する権利となり,両者は不可分の関係にある。だがその権利の射程は,リプロダクティブ・ヘルスにとどまらない広がりを有すということなのである。
 このリプロダクティブ・ライツを前面に押し出したカイロ会議は,それ以前の人口会議に比較して,当然,大きな変貌を遂げることとなった。どのように変化したかについて,阿藤誠は以下の3 点を指摘している。
 ⑴  個人,とりわけ女性の妊娠,出産の決定権が強調されたことで,旧来のマクロ的,国家的視点が大幅に後退し,政府による人口抑制政策的アプローチがほとんど姿を消した。
 ⑵  家族計画の必要性には立場を異にする二つの論拠がある。旧来はそれが混在していた。子どもの数の制限が個人の生活水準の向上,社会の経済発展につながるとみる新マルサス主義的な考え方,およびこれが女性の健康と権利拡大のために不可欠とみるM. サンガーなどの考え方であるが,カイロ会議では後者が強調された。
 ⑶  人々(とりわけ女性)が出産の決定権を行使する手段として中絶を受け入れる可能性が出てきた。一大中絶論争に発展し,世界的な注目を集めることとなった。
 国連にとっての人口問題とは世界の人口問題であり,したがってそこで至上課題とされたのは,第一義的に途上世界の人口過剰問題の解消ということになる。何よりもその方途として,ミクロレベルでの個々の女性のリプロダクティブ・ヘルスとライツの確立が重視されるようになったのである。こうした世界的な人口論をめぐる思潮と人口戦略の変化は,「人口政策的アプローチ」から「フェミニスト・アプローチ」への転換(16),と捉えられる(17)。

止まらない「少子化」、対策をいくら講じても…背景に潜む〈重すぎる社会保障〉の問題【経済学者が解説】

The Gold Online 2023.12.25

止まらない「少子化」、対策をいくら講じても…背景に潜む〈重すぎる社会保障〉の問題【経済学者が解説】 | ゴールドオンライン

いくら対策を講じても、全く改善の兆しがない日本の少子化。その理由として、歴代政権が行ってきた高齢者への手厚い社会保障制度がある。実情を見ていく。※本連載は島澤諭氏の著書『教養としての財政問題』(ウェッジ)より一部を抜粋・再編集したものです。

以下は、さらにその中から結論部分だけを抜き書きする。

……高齢者向け社会保障給付のスリム化が実現できれば、異次元の少子化対策や月々5000円程度の追加的な給付に期待しなくても大幅に手取り所得増になるし、そうなれば結婚や子どもを諦めていた若者にも希望が出てくる。
 したがって、岸田首相が、シルバー民主主義に真っ向から挑戦して高齢者向け社会保障制度のスリム化を実現し、バラマキ政治とクレクレ民主主義から決別できれば、それこそ「異次元の少子化対策」が実現される。そのためには、バラマキ政治とクレクレ民主主義が導く「大きすぎる政府」から「適正な政府」へと舵を切ることが必要だ。
 結局、日本の少子化対策とは、実際には出生増対策なので、筆者は、現在の少子化対策は高い確率で失敗に終わると見ている。しかし、同時に、こうした失敗の責任がある特定のグループに負わされるのではないかという点を危惧している。
 つまり、これだけの国費をつぎ込んで「異次元の少子化対策」を実行したにもかかわらず少子化に歯止めがかからないのは、若者が子を持とうとしないからだ、特に、若い女性がわがままだからだという批判が出るのではないかと心配している。子を産めない人や子を持たない選択をした人たちへの社会的なバッシングも起きるだろう。
 繰り返しになるが、日本の少子化に即応しようと思えば、移民の導入は不可避である。しかし、現行の外国人移民に頼らない少子化対策路線を取るのであれば、日本人女性に子を産んでもらうほか解決方法がない。
 視点を変えると、政府が政策によって、出生を強制する、あるいは社会的に出生を奨励する風潮を作ることは、女性の人権を侵害する可能性を孕んでいることに留意が必要だ。
 かつて時の厚生労働大臣が「15から50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっている」、「機械というのはなんだけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないと思う」と発言し批判を浴びたことがあったが、実はこの発言は国による少子化対策は女性の人権侵害という側面を併せ持っているという本質をついている。
 国難を救うための少子化対策と称して、子を生むか生まないか、結婚するかしないかで、政府によって優遇されたり、冷遇されたりする世の中では、たとえ、移民を受け入れて一時的に少子化に歯止めがかかったとしても、また少子化が進行してしまうだろう。
 大多数の国民は国の命運を外国人に頼るのは心許ないと考えているに違いない。だから、出生対策に頼ろうとするのも理解できる。
 しかし、だからこそ、失敗続きの「日本人を増やす」という「逃げ」の少子化対策に走るのではなく、子を持つ持たない、結婚するしないという意思決定にゆがみを与えない、そうした意思決定に中立的な雇用環境や税制、社会保障制度を構築する方が、国民の幸福も増すだろうし、国家の持続可能性も増すはずだ。
 社会保障のスリム化にあわせ、戦後の高度成長期という日本史上イレギュラーな時期に形成された右肩上がりの人口・経済を前提とする社会・経済の諸制度を、人口構造から中立的な制度へ変更することからも逃げてはならない。

政権と女性 尊厳なければ輝けぬ

朝日新聞社説 2020年9月10日

新聞切り抜きが出てきた。
今になっても全面同感! 書き写します!!
さて、「次」の首相は……?

 すべての女性が輝く社会に。女性活躍の旗を高く掲げる――安倍首相が繰り返した約束である。政権の7年8ヵ月で変化はどれほどあっただろうか。
 きのう自民党本部で会った総裁選の討論会で、各候補は女性支援や男女格差の是正を訴えた。だが、本当に議論を深めるには、これまでの政策の功罪を見すえる必要がある。
 安倍政権の女性をめぐる諸策は総じて、経済主導の側面が強かった。人口減のなかで経済成長するために、女性の労働力を活用する考えが垣間見えた。
 子育て後の再就職・起業支援や育児休業の延長、待機児童解消策などは終業を後押しした。働く女性は昨年、初めて3千万人を超え、就業率はこの8年で6割から7割強になった。
 ただ、その過半数はパートなどの非正規雇用だ。コロナ禍では真っ先に解雇や雇止めにされ、この4月に減った非正規職97万人(前年比)のうち、7割以上が女性だった。
 5年前に成立した女性活躍推進法は、大手企業や自治体に女性登用の数値目標づくりなどを義務付けた。具体的な行動計画を促した点は評価できる。 だが政府は、「2020年までに指導的地位における女性の割合を30%程度にする」とした目標を断念し、「20年代の可能な限り早期に」というあいまいな表現で先送りにした。
 最も格差がひどいのは政治分野で、衆院議員の男性9割は世界最低レベルだ。一昨年に候補者男女均等法ができたが、昨年の参院選で候補者全体のうち女性は3割に満たなかった。
 世界経済フォーラムによる男女格差指数によると、8年前に101位だった日本は昨年、121位に後退した。主因は政治の遅れだ。国会議席のクオータ制や罰則なども含め、踏み込んだ検討をする時ではないか。
 問題の根底には、女性の人権を軽んじる文化が根強くある。
 近年も財務事務次官による女性記者へのセクハラや、大学医学部での女子受験者差別などが相次いだ。男女の固定的な役割意識を変えようという、社会的な作業がなされてこなかったことの裏返しだろう。
 選択的夫婦別姓も、世論調査で賛成が反対を大きく上回るなか、安倍政権は保守的な家族観を重視する議員や支持層に配慮し、何も動かなかった。
 暮らしのなかでの格差撤廃、官民の高位ポストへの妊孕、そして、女性の尊厳を守る社会的合意の形成。こうした旧来の課題が重く残されている。
 次の首相には、確かな変化をもたらす決意を切に求めたい。真のジェンダー平等のもとでしか、女性は輝かない。

女性のエンパワーメントと女性の健康・権利を基本にすえた政策展開を

日本の少子化対策に欠けているもの:ジェンダーの視点に立った実態把握と必要な支援の実施

浅倉むつ子戒能民江・若尾典子共著『femニズム法学——生活と法の新しい関係』明石書店 2004年
第3章 人口論と女性の身体
7 日本の少子化社会の問題点

ここ大事。抜き書きします。

(人口政策に)女性のエンパワーメントと女性の健康・権利を基本にすえた政策展開が、求められている。…… 
 日本が直面している少子化問題こそ、【前述のような】人口問題に関する国際的な政策アプローチが必要である。人口問題を政策として検討することは、その内容が人口の抑制であれ増加であれ、女性の出産行動を対象にすることになる。その場合、人間の数を問題にする視点は、人間の質の確保と言う問題と連動し、女性の出産行動を上から監視することに結び付きやすい。ブカレスト会議以後、途上国の女性が直面した問題は、途上国の特殊性、すなわち貧困で公衆衛生が保障されず、先進国の支援という名の圧力に屈しなければならなかったという点だけが原因ではない。なにより各国政府が、女性たちの直面している問題に取り組む姿勢をもつか否かによって、人口政策の成否が分かれた。多産であれ、少産であれ、どこにどのような問題を女性たちが抱えているのか。正確な実態把握と、必要な支援策の実施が必要である。これが、カイロ行動計画における、女性のエンパワーメントとリプロダクティヴ・ヘルス/ライツの要請である。……
……
 日本の少子化社会は、子育てを個人、とりわけ女性の負担に委ねているところに問題がある。求められているのは子育てを支援する具体的な施策・法制度である。ところが施策の充実を放置したまま、少子化社会対策基本法という、これまた理念を掲げる法律を追加した。しかも、この基本法は、家庭や子育てに夢をもつことができる社会の実現に努めることを、「国民の責務」とまでしている。これでは、日本政府・少子化社会対策基本法の狙いは、出産・子育てという社会的な支援を必要とする領域で、具体的な施策を講ずることなく、子を産まない女性を非難し、女性に子産みを強要するものではないか、という疑念さえ生じる。日本の少子化にたいする基本視せ右派、女性のエンパワーメントと、リプロダクティヴ・ヘルス/ライツの保障を、欠落しているところに、重大な問題がある。

リプロダクティブ・ライツは「産む」「産まない」の自己決定権と、両方のリプロ・ヘルスケアが保障される権利

従来、「リプロダクティブ・ライツ」「自己決定権」は「中絶」の問題として狭く考えられがちだった。

以下はその事例です。

……自分の身体に対する自己決定権は、どのようになされようとも、それ自体で他者の人権と衝突することはありえない。この自己決定権は身体に対するものであるが、精神とかけはなれて存在する人間の身体はありえないのだから一面では精神の自由とも深く関わってくる。「性」が精神と身体との両方に係るものであることの結果でもある。
 女性の身体に対する自己決定権を認めないということは、中絶の権利を否定するとともに、中絶が他者の意思によって行われてしまうということをも認めることになる。中絶の権利性の論証のためにだけではなく、不当に中絶されない権利の確立のためにも自己決定権は必須だと私は考えている。……
 「産まない権利」はまた「産む権利」の問題なのだ。この二つの権利がコインの裏表であるのは、産むことの奨励が、産まないことへの非難であることと同じことである。
 産む選択も、産まない選択も女性のものであり、他者が介入したり強制したりすることは許されない基本的人権であることが根づく社会をめざしたい。
 そのためには、堕胎罪と優生保護法を廃止するだけでは不十分である。性と生殖に関する自己決定権を保障する新しい法律が必要だ。……
 そして、この新しい法律は、不当に中絶や優生手術を強制されない権利をも保障するものでなければならない。
――角田由紀子『性の法律学有斐閣 1991年
※産む権利は考えられているが、産む場合、産まない場合の両方向のリプロダクティブ・ヘルスケアを保障する権利は考えられていない。

「女性の自己決定権」、すなわち第二波フェミニズムが取り組んできた、「性と生殖にかかわる女性の権利」、現在の言い方では「セクシュアル・ライツ」とか「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という問題があります。
 女性の自己決定権」というと、通常は「産む/産まない」を決める権利、もっと具体的に言えば合法的に人工妊娠中絶を受けられる権利を指します。
――江原由美子『自己決定権とジェンダー岩波書店 2002年

リプロダクティブ・ライツは、言い換えれば、自己の生殖をコントロールする権利である。……リプロダクティブ・ライツは、幸福追求権の一部として考えられるべきものといえよう*1
 リプロダクティブ・ライツは、子どもを産むか否かを決定する権利にとどまらず、子を産まないという決定あるいは子を産むという決定を実現する権利も含む。ここでは、まず、子を産まない権利に関して人工妊娠中絶を、次に子を産む権利に関して生殖補助医療を、次に子を産む権利に関して生殖補助医療を取り上げて、わが国のリプロダクティブ・ライツの現状と問題点を明らかにしたい。
――石井美智子「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」『ジュリスト』No.1237 有斐閣 2003年
※「産む権利」を考えてはいるが、生殖補助医療と絡めてしまったことで、シンプルに「産むこと」の権利は考察されていない。

2 自己決定権とリプロダクティブ・ライツ
(2) 人工妊娠中絶と自己決定権——「産まない権利」
4) 日本の議論と課題
 ……これらの問題は、女性の生殖に関する自己決定権として憲法13条で構成することが一般的であるが、ドイツ憲法研究の成果*2をもふまえて、胎児の生命権や人間の尊厳と女性の人権との関係で議論を深める必要がある。
――辻村みよ子『比較憲法 第3版』岩波書店 2018年

なお、国連は2017年の段階で「胎児」と「女性」を拮抗させる考え方を否定している。「人権」は「生まれつき」備わっているものであり、「未生」の存在には与えられていないということを再確認したためだ。それ以来、胎児生命を尊重する思想をもつのは人の自由だが、それを法律にすることで、国が女性の「人権」を侵害することは許されないと考えられるようになっている。


年代は前後するけれども、以下の考え方が、国連のリプロダクティブ・ライツの考え方をより良く表していると思います。

「リプロダクティブヘルス(以下、「RH」という。):性と生殖に関する健康」と「リプロダクティブ・ライツ(以下、「RR]という。):性と生殖に関する権利」の両方を含む概念を、ここでは仮に「リプロと総称する(略称)。これらの概念が国際フォーラムに登場し、定義がなされたのは、1994年の第3回国際人口・開発会議(以下、「カイロ会議」という。)である。……
 本項ではとりわけ16条e豪とRRの関係について扱うことにする。しかしながら、RRは権利の性質上、「リプロダクティブ・ヘルスケアへの権利」と「リプロダクションに関する自己決定権」が含まれる。そのため、「リプロダクティブ・ヘルスケアの権利」と12条の関係についても、若干関係してくるために触れる個所があることをお断りしておく。なお、補足であるが、CEDAWと「リプロ」の関係でいえば、関連してくる条項は、4条2項、5条b号、10条h号、11条1項f号・2項・3項、12条、14条2項b号・h号、16条1項e号・2項である。
……
 16条は、「婚姻および家族関係に係わるすべての事項について女性に対する差別を撤廃」するために締約国がなすべき措置を規定する。リプロとの関連で問題となるのは、1項公団において「男女の平等を基礎として【英文引用省略、以下同じ】」定められている8項目のうち、e号「子の数および出産の感覚を自由にかつ責任をもつて決定する同一の権利【英文略】並びにこれらの権利の行使を可能にする情報、教育及び手段を享受する同一の権利【英文略】」である。e号はまた、家族形成権や家族計画に関する権利(女性の出産や出産間隔についての自己決定権」ともいわれ、「家族計画に関する権利の保障のためには、12条1項にもとづいて、家族計画を含む保健サービス享受の機会確保を図ることとあわせ、関連情報の普及や教育・指導のみならず、公費負担や国民医療制度のもとで避妊具の配布や不妊・人工妊娠中絶手術が本人の希望によって行われることが必要である。【注は略す】また、「……産むか、産まないかの選択の自由を含む、「生殖にかかわる権利(reproductive right)」についての女性の自己決定権の確立とともに、人工妊娠中絶の禁止も緩和されてきている。……
 リプロの抱える問題は非常に公判であり、また、宗教的、倫理的規範などと相いれないものとして扱われる。はじめて国際フォーラムの場で、RH/RRに関して詳細に定義をしたカイロ会議は、持続可能な発展を進めるための人口政策をテーマとして開催された。特に女性の人権・女性の地位向上と人口抑制政策とのかかわりがクローズアップされ、「女性の地位向上、役割拡大、RH」の3点が人口問題を解決する鍵とされたのである。とりわけ、女性の意思によらない避妊方法、不妊手術、人工妊娠中絶問題など、それまで女性が国家の管理対象となった人口抑制政策が問題となり、かわって女性の人生の選択の幅を広げることが最終的には人口抑制に繋がるとして、個人重視の姿勢を強く打ち出した。女性の健康や身体に関する決定には、国家の政策や男性の考え方よりも、女性自身の主体性が尊重されなければならないとするRH/RRという概念であるが、この議論にカイロ会議は多くの時間を費やした。
――国際女性の地位協会編(編集委員:山下泰子、辻村美代子、浅倉むつ子戒能民江)『コンメンタール 女性差別撤廃条約』尚学社 2010年

*1:「筆者は、リプロダクティブ・ライツを、家族形成権の中に位置づけて考えている。」との注記あり。

*2:直前の項「3)ドイツの意見判決と胎児保護義務」の中で、「未生児の生命権に対する国の保護義務を根拠として中絶を原則として禁止しうることを前提に、女性の憲法的地位は例外状況でのみ許容されうる、として女性の自己決定権を相対化した」と説明している。