リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本のナショナル・ステートメント草案:第57回人口開発委員会会合に寄せて

United Nations: Commission on Population and Development, fifty-seventh session (2024), 29 April 2024 to 03 May 2024

Commission on Population and Development, fifty-seventh session (2024)


各国スピーチのリスト
Japanのスピーチ草案

仮訳します。

日本のナショナル・ステートメント草案:第57回人口開発委員会会合に寄せて
 ご列席の皆様、国際人口開発会議(ICPD30)30周年を記念し、日本が第57回人口開発委員会の副議長を務められることを光栄に思います。今会期議長として卓越したリーダーシップを発揮されたノエミ・エスピノサ・マドリッドホンジュラス大使に感謝の意を表します。
 世界人口は2022年11月時点で80億人を突破し、2080年代には約100億人に達すると予測されています。その後、国連世界人口見通し2022は、2087年頃から世界人口が減少することを示しています。こうした人口動態の変化は、あらゆる地域や国家に深刻な影響を及ぼすでしょう。
人口動態の変化を正確に理解し予測することは、持続可能な開発にとって不可欠です。世界各国の政府は、包括的で公平な開発への道筋を描くために、こうした変化を巧みに操らなければなりません。
 日本は、世界的なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の強力な支持者であり、「人口と開発」の分野における取り組みを一貫して支持してきました。その経験を踏まえ、私たちは、様々な国際的なプラットフォームにおいて、健康で活動的な高齢化を促進し、UHCを達成することの重要性を強調します。持続可能な開発目標を達成するためには、保健システムは感染症、非感染性疾患(NCDs)、健康で活動的な高齢化など、無数の健康課題に効果的に対処しなければなりません。世界で最も人口が減少する超高齢社会の一つである日本は、人口動態の課題に取り組み、将来にわたって持続可能な保健医療制度を継続的に改革していくことに特に力を入れています。
 日本では未曾有の少子化が進行しており、2030年代までが少子化を逆転させる最後のチャンスです。昨年12月には、「子ども未来戦略」が閣議決定され、若い世代が望む時に結婚し、誰もが望む時に子どもを産み、子どもたちが将来に希望を持てる社会の実現を目指しています。
 先般、「ICPD30:高齢化する世界に誰も取り残さない」をテーマとする議員会議が東京で開催され、アラブ・アジア地域の国会議員が一堂に会し、喫緊の課題について議論しました。また、来年5月にはバングラデシュでICPD30グローバル・ダイアローグ「人口動態の多様性と持続可能な開発」を共催できることを光栄に思います。ICPD30周年を迎えるにあたり、日本は国連人口基金UNFPA)やパートナーとの協力の下、人口と持続可能な開発に関する世界的な議論をリードしていきます。
 結論として、日本は人口動態と開発の複雑な相互作用に対処するため、専門知識とパートナーシップを活用することに揺るぎはありません。80億人を超える人口を抱える世界の人口動態をナビゲートしながら、人口動態の多様性が称賛され、すべての人のために持続可能な開発が実現される未来に向けて、協力的に取り組んでいきましょう。
 ありがとうございました。

ICPDに関するグットマッハー研究所の報告書

ICWRSAのニュース 第57回国連人口開発委員会本会議

ICWRSA Newsletter: 10 May 2024

仮訳します。

 先週、ガットマッハー研究所は、第57回国連人口開発委員会に世界中から集まった政府代表、専門家、市民社会組織とともに出席した。この会議は、1994年の画期的な国際人口開発会議(ICPD)以来、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の世界的進歩を評価する極めて重要な瞬間であった。


 グローバル・ポリシー・ディレクターのイルム・タチは、研究所を代表して声明を発表し、2018年にガットマッカー・ランセット委員会がまとめたSRHRへの包括的アプローチの必要性を強調した。このアプローチは、ICPDが打ち出したビジョンの達成に向けた進展を加速させるだろう。


 データは、世界が過去30年間にSRHRにおいて目覚ましい進歩を遂げたことを示しているが、進歩は依然として国内および国間で不均一であり、思春期のSRHR、ジェンダーに基づく暴力、中絶などの無視された問題は、私たちの注意を必要としている......。


出典2024年5月8日、ガットマッハー研究所からのEメール

(9th plenary meeting) 57th session of the Commission on Population and Development, CPD57 | UN Web TV


関連資料
Commission on Population and Development, fifty-seventh session (2024)
Provisional Agenda (CPD57) E/CN.9/2024/1

アメリカ:22年中間選挙、中絶問題が左右 米大調査、経済影響せず

2024年5月14日 04時00分 (共同通信

22年中間選挙、中絶問題が左右 米大調査、経済影響せず:東京新聞 TOKYO Web

 【ワシントン共同】2022年11月の米中間選挙を左右したのはインフレなどの経済問題ではなく、連邦最高裁の判断を機に高まった人工妊娠中絶の是非への関心だったとする世論調査結果をペンシルベニア大の研究者らが13日、米科学アカデミー紀要に発表した。
 同選挙では民主党が予想外の善戦をした。今年11月の大統領選でも中絶問題が争点の一つで、結果にどのような影響を及ぼすのか注目される。
 最高裁は22年6月、中絶を憲法上の権利ではないと判断。その後、保守的な州で厳格な中絶規制が相次ぎ導入された。今年夏には最高裁が経口中絶薬の制限を巡る判断を出す見通しだ。

堂々と性を買う男性、取り締まられる女性 処罰されるべきは誰なのか

朝日新聞 聞き手・大貫聡子2024年5月11日 11時00分

 売春の客待ちをしたとして女性の摘発が相次いでいます。売買春は違法なのに、取り締まりの対象が女性ばかりに偏るのはなぜなのでしょうか。ジェンダー史研究者の金富子(キム・プジャ)さんは売春防止法のあり方に問題があると指摘します。(聞き手・大貫聡子)

 女性支援団体に同行し、売春のための客待ちをする女性たちが集まる新宿・大久保公園に行ったことがあります。驚いたのが、女性に声をかける男性客の堂々とした態度でした。

 日本では男性が女性の性を買っても許されるという風潮が根深いからでしょう。加えて売春防止法に大きな問題があります。

 第3条は「何人も、売春をし、又(また)はその相手方となってはならない」、つまり売っても買ってもいけないと禁止を宣言しますが、罰則はありません。一方で第5条は、「公衆の目にふれるような方法で」売春の相手方になるよう勧誘したり、客待ちしたりすることを禁じ、売る側に罰則を科します。

続きは有料記事になります。

立場を利用した性犯罪は厳罰に処すべし

医療者、支援者、警察官……そして加害者はすべて男性

入院患者6人に看護師らが性的虐待 福岡、国立大牟田病院


「性的欲求を満たすため」 能登半島地震のボランティア男逮捕 女性にわいせつ未遂疑い


不同意性交罪で起訴後、留置施設で死亡の元警視正 警察庁が退職金差し止め


被害者より優位な立場にある者による「性犯罪」を抑止するために重罪にすべきだと思います。

令和5年度犯罪白書 強制性交等被害者数・率(男女別)

ほとんどのアメリカ人が中絶を支持。政治システムは我々を失望させている。

『忘却の引揚げ史』

忘備録

書名 忘却の引揚げ史(ボウキャク/ノ/ヒキアゲシ)
副書名 泉靖一と二日市保養所(イズミ/セイイチ/ト/フツカイチ/ホヨウショ)
著者名等 下川/正晴‖著(シモカワ,マサハル)
出版者 弦書房/福岡
出版年 2017.8
ページと大きさ 333p/19cm

ISBN 978-4-86329-155-3
価格 ¥2200
タイトルコード 1000001061782


内容紹介 福岡にあった二日市保養所は、敗戦後、満州などで性暴行を受けた女性たちの中絶手術と治療が行われた場所である。二日市保養所が忘却されている実態を伝え、二日市保養所を作った文化人類学者・泉靖一らの功績を描く。


著者紹介 1949年鹿児島県生まれ。立教大学大学院博士課程前期修了。毎日新聞西部本社、ソウル支局、論説委員を歴任。韓国外国語大学言論情報学部客員教授等を経て著述業。著書に「私のコリア報道」。

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緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る環境整備のための調査事業 結果報告書

厚生労働省 医薬局 医薬品審査管理課 令和6年5月10日に報告書と概要を掲載

緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る環境整備のための調査事業 結果報告書

※調査事業の詳細については、外部サイト「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業(厚生労働省医薬局医薬品審査管理課委託事業)」を御確認ください。

令和5年度 結果報告書
概要(令和6年5月10日掲載)


報告書(令和6年5月10日掲載)

この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」

東洋経済

この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」 | 国内経済 | 東洋経済オンライン

生産性の高い先進国では女性活躍が進んでいるという事実があります。一方、生産性の低い日本では、女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいないという、これまた動かしがたい事実があります。この2つの事実をもって、専門家たちは、日本も諸外国並に女性に活躍してもらえば、諸外国並に生産性が向上するに違いない、と主張しているのです。

台湾の少子化対策、保守的な伝統が妨げに

CNN, 2024.04.28 Sun posted at 11:39 JST

台湾の少子化対策、保守的な伝統が妨げに - CNN.co.jp

 台湾の中国医薬大学付設病院で婦人科主任を務める張訓銘医師も、生殖にまつわる「各種規制の段階的緩和は理にかなっている」と言う。

 生殖医療の分野に30年以上携わる張氏によれば、「こうした治療は既存の技術で完全に対処することができる」。

 陳議員もこれに賛同するが、いまだ台湾で統一見解が取れていないと思われる分野がひとつあることも認めた。それは代理出産の合法化だ。

 台湾で生殖補助医療の規制緩和に関する議論が高まる中、緩和に反対する人々は記者会見を開き、「不完全な家庭」に生まれた子どもの幸福に懸念があるとして法律改正の先延ばしを求めた。

 代理出産によって「子宮が商品として扱われる」ことを危ぶむ声もある。妊娠期の代理母の権利を保護する包括的な法的枠組みを設けることで、こうした主張も和らぐだろうと陳氏は考えている。


 議論の第1段階では、代理出産が除外される公算が高い。洪さんと黄さんの息子エイダンくんは生後9カ月になったばかりだが、2人のような同性婚カップルは引き続き(少なくとも当面は)台湾で生殖補助医療を受けることができない。

 同性婚が19年に合法化されて以来、台湾は段階的に同性婚や国際結婚を完全に承認し、養子縁組の権利も認めた。残るは生殖補助医療だけ。婚姻の完全平等に向けた最後のハードルとなる。