リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

 昨日,赤信号で道を渡る話を書いていたら,今日になって読んだ本(A Defense of Abortion)にjaywalking(信号無視で道を横切ること)とadultery(いわゆる「不倫/不貞」)の倫理の話が出てきた。
 筆者David Booninによれば,jaywalkingは違法かもしれないが,非倫理的だとは言えない。一方,adulteryは非合法ではないにしても,非倫理性は否定できない。また,非倫理的だから違法にすべきだとは必ずしも言えない一方,非合法だから非倫理的だと言うこともできない。実際,倫理性以外の理由で非合法にされている事柄は多い。
 こうしたことを説明するために,Booninは,moral criticizability(道徳的批判可能性)とmoral permissibility(道徳的許容性)とを切り分け,前者よりも後者のclaimのほうが"qualitatively stronger"だと述べている。他にもいろいろ興味深い話があるので,いずれちゃんと読んで紹介したいな。(早く博論を終わらせて翻訳したい本が溜まってる!)

P.S.Booninの主張を訳した部分,逆に訳した部分があったので修正しました。おまけですが,上記はアメリカの話なので,日本とは違法の対象や内容がズレているはずです。なお,日本語の「道徳的」は日常的なお作法までも対象にするほど広いので,前の翻訳では「非/道徳的」としていた部分について,「非/倫理的」と直しました。