リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

緊急避妊法(EC)「知らないのは愚か、知らせないのは罪」

日本家族計画協会の北村邦夫先生が、同協会が行ってきた
性の悩み相談10年分のまとめを次に掲載しています。
  ↓ ↓ ↓
Dr.北村 ただ今診察中:第155話 女性の性の悩み−−−10年間のまとめ

以下、一部抜粋で紹介しますが、特に緊急避妊法(EC)の話が目を引きました。

 日本家族計画協会が開設している性の悩み相談の10年分がまとまりました。総数5万9733件。このうち女性からの相談は2万5007件。この10年間に日本の女性の性の悩みの何が変わったのでしょうか。性に悩む日本人女性の姿とは?

 毎週月曜日から金曜日の10時から16時まで開設している「思春期・FPホットライン」(03・3235・2638)。「思春期」の冠が付されていますが、10年間を概観しますと最も多い年齢層は20〜24歳で28.1%、15〜19歳(23.9%)、25〜29歳(17.1%)、35歳以上(11.9%)、30〜34歳(10.0%)となっています。「FP」とは「Family Planning」(家族計画)の意味。この電話番号がメディアなどによって取り上げられることから、特に2000年度から一挙に「緊急避妊」の処方施設を求める相談が殺到しています。その件数は女性からの相談全体の31.3%。06年度42.8%、07年度43.8%と最近では4割を超えています。

 このコラムでもしばしば登場する緊急避妊法(EC)とは、避妊できなかった、避妊に失敗した、レイプされた、などがあってから72時間(3日)以内に必要量の女性ホルモンを服用する、あるいは妊娠経験のある女性では銅付加子宮内避妊具を挿入するなどの方法がとられるのが普通です。これによって妊娠する危険性を減らせることになります。妊娠前に行うわけですからECは避妊法であって中絶ではありません。

 ECについては「知らないのは愚か、知らせないのは罪」とまで言われていながら、残念なことにわが国では正式には承認されていないだけでなく、192カ国ある国連加盟国中、未承認国にはイラン、イラクアフガニスタン北朝鮮、日本などの名前が並ぶのですから何をかいわんやです。それでもECがわが国で使用されているのは医師の判断と責任のもとであって、言い換えれば医師の好意に甘えていることになります。

 「妊娠」と「妊娠不安」の相談を加えると10年間では全体の12.0%。07年度も12.9%を占めています。

==後略==

まず、ECが合法化されることを強く希望します。他の国々のように店頭販売したほうがベターだと思いますが、低用量避妊ピルがそうであるように、日本の医師たちは処方にこだわるかもしれません。しかし、医師の利害より女性の健康上の利益を優先すべきことは言うまでもありません。