中絶を拒否された女性の事後を調べた長期調査:望まない出産をした女性に悪影響
最近、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のターンアウェイ調査が話題です。
2008年から2010年に中絶可能週数を過ぎてしまったために中絶を拒否された女性たちと、ぎりぎりの週数で中絶できた女性たちについて、何年間も詳細にわたって追跡した大規模調査で、望まない妊娠が女性たち自身、子どもたち、家族に与える影響を明らかにしました。
主な調査結果は以下のとおり:
中絶は女性たちに悪影響を及ぼさない
中絶を受けた女性たちは自分の決断に満足している
- 95%の女性が中絶は自分にとって正しい判断だったと答えた。
- 自分の望んだ中絶を受けられた女性たちは未来について明るい展望を抱いており、1年以内に達成する人生計画をもっていた。
女性たちが中絶を求める理由は様々である
- ほとんどの女性が中絶を求めるのに複数の理由を挙げていた。
- 経済、タイミング、パートナーの問題、他の子どもたちに手がかかることなど。
- 中絶を拒否された女性たちは、予測していた通りの悪い状況に陥っていた。
- 妊娠20週を超えて中絶を求めた女性たちのほとんどは、妊娠に気づいていなかった。
- いったん中絶が遅れてしまうと、金銭的な問題や支援が欠けているために対応がさらに遅れてしまっていた。
中絶を拒絶されることで、女性たちやその子供たちの経済状態は不安定になり悪化した
- 中絶を拒否された女性たちは、連邦政府の定める貧困レベル未満の所得収入になる可能性が4倍高まり、失職する可能性が3倍高かった。
- 中絶を拒否された女性たちは、食や住宅、交通費など基本的な家族の生活費を払えない可能性も高まった。
- 望まない妊娠の継続を強制された女性たちは、暴力的なパートナーと暮し続ける可能性が高まり、中絶を受けられていた場合に比べて女性たちとその子どもたちが暴力を受けるリスクは高まった。
- 望まない妊娠を継続し出産することは、中絶を受けた場合よりも深刻な健康被害にみまわれていた。
女性たちが妊娠のタイミングをコントロールできる場合、子どもたちの福利は向上する
- すでに子どものいる女性たちが中絶を拒否された場合、連邦政府の定める貧困レベル未満で生活しなければならなくなる可能性が3倍以上高まり、中絶を受けられた女性たちがすでに育てている子どもたちに比べて発達の諸段階を達成できる可能性が低かった。
この調査を指揮したDiana Greene Fosterによれば、この調査が行われたのは、いわゆる「中絶後症候群」を否定する客観的な証拠が積み重ねられてきたにも関わらず、アメリカの一部の州は「中絶は女性自身の精神的健康に悪い」ことを理由に中絶を規制しているため、後者の考え方を否定する科学的な証拠を得るためだった。
詳しくは以下を参照してください。
The Turnaway Study
What Happens to Women Who Are Denied Abortions? - The New York Times