ヤーズ(ドロスピレノン、エチニルエストラジオール含有避妊薬)は夢の薬ではなかったがそれなりに使える
RCOG=英王立産婦人科医協会、ACOG=米産婦人科医協会、Cochrane=コクラン(医療に関して世界最良のシステマティック・レビューを行っているグループ)がどう言っているのかを調べてみました。
まず証拠を示します。
FSRH Clinical Guideline: Combined Hormonal Contraception (January 2019, Amended July 2019)
Cochrane Reviewから2本紹介します。 Combined oral contraceptives: venous thrombosis
Types of progestogens in combined oral contraception: effectiveness and side‐effects
Consumer medicine information: Yaz Flex
Ethinyloestradiol; Drospirenone
これらの証拠に照らすと、どうやらドロスピレノン(DRSP)/エチニルエストラジオール(EE)含有の最新の避妊薬(ヤーズ、ヤーズフレックス)は、一世代前の避妊薬と効能もリスクもほとんど変わらなさそうだと言えそうです。
2009年にアメリカで鳴り物入りで(テレビ宣伝などもバンバン打ったらしい)ニキビがきれいになるなどの副効用を強調して紹介され、一世を風靡したこのピルは、以前の世代のピルとそう変わらない副作用があることが徐々に分かって来て、FDAからも注意され、世間の熱も冷めていき……といった経過があったらしく、実際に一定数の事故が起き、訴訟が相次いで、信用を失っていった……というのが真相に近そうです。
非常に危険な薬というわけではなさそなので、「今はこの薬しか認可されていない」国の住人としてはちょっとほっとしましたが、それでも女性一人一人に合った処方をすべきというRCOGの指摘は大事だと思います。つまり選択肢は必要だということ。1つのピルだけで対応している日本の現状はやはりまずいのではないかと思いました。