リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

なぜ? 女子陸上選手たちの資格剥奪を通して考える、アスリート界のルールにおける「性差別」

Harper’s BAZAAR(ハーパーズ バザー)7/5(月) 20:22配信

新たなルールやガイドラインが必要なタイミングなのかもしれない

 2016年、100mハードルで金メダルを獲ったブリアナ・マクニール。先月、彼女は2度目となる、アメリカのオリンピック代表予選を通過した。
 しかし、昨夏開催される予定だった東京オリンピックを前に、彼女は義務づけられている薬物テストを受けていなかった。その説明を執拗に求められた彼女は、ようやくその理由を明かした。それは、その2日前に受けた中絶手術から回復途中だったためということだった。

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 最終的に彼女は、“結果管理過程における改ざん“を理由に、5年間の出場停止処分を受けた(医師が書いた手術日の記載を、誤って1日変えてしまったとマクニールは話している)。マクニールは2021年に開催される東京オリンピックの出場資格を得たにもかかわらず、スポーツ仲裁裁判所は停止処分を支持すると発表した。

 つまり、彼女は東京オリンピックには出場できないということだ。

先週、100mスプリンターのシャカリ・リチャードソンがトップニュースになった。しかし、その内容は、驚くほどの速さの結果ではなく、マリファナによりドーピング検査で陽性になったとういうものだった。

世界アンチ・ドーピング機関は、マリファナなどの作用に関係する化学物質カンナビノイドをアスリートが摂取することは、“スポーツ精神“に則っておらず、“パフォーマンスを強化する“可能性があるため危険だとして、使用を禁じている(さらなる研究が必要であるとしながらも、2017年の学術論文でテトラヒドロカンナビノールは有酸素能力を向上させないことがわかっている)。

また、先週には、オリンピックでの活躍が期待される18歳のナミビアの選手、クリスティン・ムボマとビアトリス・マシリンギのテストステロンが基準値を超えたため、オリンピックの400mへの出場が禁止されたと、ナミビアオリンピック委員会が発表した。

この判定は、女性アスリートのテストステロン(男性ホルモン)を一定基準値内に下げなければいけないとする、Athletes with Differences of Sex Development(DSD)のポリシーに基づくもの。これは、男性アスリートには適用されない。(南アフリカの800m走者キャスター・セメンヤも過去に同様の対象になっており、東京大会でこの得意種目の出場は禁止されるだろう)。

その前週には、トランスジェンダーであることを公表した、初の全米大学競技協会優勝者で400mハードルのセセ・テルファーが、テストステロン値が資格基準値に合わないため、ハードルの代表選考会に不適格と判断された。男性アスリートの場合、自然なホルモンであるテストステロン値が平均より高いことは競技上のメリットになる。だが、女性の場合は、それがプロとしてのキャリアを脅かす存在になるのだ。

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