リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

アメリカの中絶費用や中絶状況

州によっても場所によっても違うけど……

Planned Parenthood(家族計画協会)によれば
How much does it cost to get an abortion?
0~1,000ドル(1ドル=150円換算で、0~15万円)
*0円というのは、保険が下りる人、貧困者に補助が出るところに住んでいる人などの場合。最も高いのはおそらく中期中絶の金額です(後期中絶はしごく稀です)。妊娠週数と使われる方法によっても値段は変わります(早いほど安く、外科処置ではなく内科処置=薬の方が安い)。

Compass Careによれば(Guttmacher Instituteの引用として)
Abortion Costs | CompassCare
第一期中絶 75~2500ドルで平均508ドル(9,000~288,000円、平均58,000円)
第二期の中絶費の中央値 1,195ドル(137,000円)
後期中絶には3,000ドル以上かかる場合も(345,000円以上のことも)

Guttmacherの資料は多すぎて、上記金額の載っている資料は突き止められませんでした。
先進国でも一般的に中絶に500ドル以上もかかるのは高いと考えられているので、アメリカは高い方の部類に入りますね。

なお、そもそもアメリカの医療費は一般的に非常に高額であることも念頭においておくべきです。
ただしアメリカの初期中絶=第1三半期は妊娠13週6日までで、日本より2週間近く長いです。中期=第2三半期は妊娠14週0日~27週6日まで。これも日本に比べて6週近く長いです。
Search | ACOGより。


Resources for Journalists: 15 Things to Consider When Covering Abortion, the Supreme Court and a Potential “Post-Roe World” | Guttmacher Institute
ジャーナリストに対して、中絶の最高裁裁判について書く時に考慮すべき15点をまとめています。とても勉強になります。これによれば、「中絶の平均額は550ドル(63,000円)」だそうです。


下記の資料は料金はなかったのですが、トランプが大統領になって国内にギャグルールを敷いた2017年時点でアメリカの各地で中絶が受けにくくなったようすが分かります。
Abortion Incidence and Service Availability in the United States, 2017


下記の資料は、バイデン政権による状況改善に関するもの。
Righting the Course: What Congress and the Biden-Harris Administration Must Do for Abortion Access in the United States | Guttmacher Institute