マダムフィガロ Society & Business 2022.06.16
2022年末までに外科手術なしで中絶を可能とする経口中絶薬が日本で承認される予定だ。しかし、配偶者の同意が条件であると5月31日付けのThe Guardian紙が報じている。この報道をフランスはどう見たか、フランスのマダム・フィガロの記事を紹介する。
配偶者の同意がなければ女性は中絶できなくなってしまう。日本で経口中絶薬の販売が年内に許可される予定だが、この薬の使用の可否は本人ではなく、配偶者の意思にかかっていると5月31日付けのThe Guardian紙は伝えている。
実際、日本では中絶手術の場合でも配偶者の同意書が必要とされている。日本以外の11カ国でも配偶者の同意が求められていることに対し、WHOは懸念を示している。日本の女性の権利を守る団体は、リプロダクティブ・ヘルス&ライツに対する新たな攻撃であると怒りを示している。
同意に疑問、金額設定も高額
「配偶者と意見の不一致がある場合、あるいは配偶者が女性の意思に反して出産させようとしている場合、「”配偶者の同意”は大きな問題となります」とSAJP(セーフ アボーション ジャパン プロジェクト)のメンバーである塚原久美さんは言う。「希望しない妊娠を継続させるのは一種の暴力であり、拷問でもあります」中絶薬を使用するにあたってもう一つ大きな障害がある。保険適用外であるためコストが非常に高くなるかもしれないことだ。日本のメディアによれば1回の使用で10万円ほどかかる可能性がある。厳格な医学的監視のもとでしか使用できず、入院が必要条件となる可能性もあるという。
女性の権利の後退
日本で人口妊娠中絶は1948年に認められた。避妊ピルは1999年に解禁されたが、それはバイアグラの承認という背景の中で実現した。政府と医療従事者は主に男性で構成されており、女性の健康に対して無関心であると女性の人権活動家たちは非難する。野党の国会議員であり社民党首の福島瑞穂は、女性は男性の所有物ではないし、守られるべきは男性ではなく女性の権利だと主張する。彼女がこう発言するのには裏付けがある。日本では女性が有する自分の身体に関する権利は制限的、差別的であり、それによって過去に悲惨な状況が発生しているからだ。
昨年、愛知県在住の21歳の女性が出産後、新生児を公園に遺棄した罪で逮捕されたとThe Guardian 紙は報じている。執行猶予付きの有罪判決を言い渡された彼女は、相手の男性が同意書に署名してくれなかったので中絶が出来なかったと証言した。他にも日本では性的虐待の結果妊娠した女性が、複数の病院で中絶を拒否されたことが報じられている。