隠された歴史
当初は初期中絶薬として注目されたが1981年に東大教授が中期中絶薬としてお墨付け、その後、1984年に小野薬品工業株式会社から中期中絶薬として発売
1970年代に日本で開発されたONO-802の中絶薬としての可能性を追求した論文と、それを引用した論文の概要をそれぞれ仮訳する。
1977年
Termination of early pregnancy by ONO-802 (16,16-Dimethyl-trans-δ2-PGE1 methyl ester), by S.Takagi et al.
Prostaglandins, Volume 14, Issue 4, October 1977, Pages 791-798
概要
健康なボランティア45名を対象に，早期妊娠の終了を目的としてONO-802を子宮腔内へ注入した。45例中42例（93％）が完全流産、2例が不完全流産であった。45例のボランティアのうち9例（20％）が吐き気を訴え、7例（16％）が嘔吐し、5例（11％）が腹痛を訴えた。下痢や衰弱は観察されなかった。
これらの結果は、ONO-802がPGF2αよりも早期妊娠の終了に許容されることを示唆している。
高木繁夫氏の経歴はこちら。
1968年9月から1年間イリノイ大学＆メイヨークリニックに留学
1972年～1990年 日大医学部産婦人科教授
1978年
Termination of early pregnancy by ONO-802 suppositories (16,16-dimethyl-trans-Δ2-PGE1 methyl ester), by S.Takagi et al.
Prostaglandins, Volume 15, Issue 5, May 1978, Pages 913-919
概要
健康なボランティア63名を対象に，早期妊娠の終了を目的としてONO-802を膣座薬の形で使用した。63例中54例（86％）が完全流産，残り9例（14％）が不完全流産であった。63例中1例（1.6％）に悪心・嘔吐、3例（4.8％）に頭痛を訴えた。その他の副作用は認められませんでした。
以上の結果より、ONO-802は膣座薬の形で早期妊娠の終了に使用できることが示唆された。
1978年には日本語論文も
Prostaglandin E1誘導体(ONO-802)腟坐剤による初期妊娠中絶効果
小田 隆晴,千村 哲朗,広井 正彦＊
産婦人科の世界 30－1
＊小田隆晴氏他2名は、新潟大学医学部卒後、山形大学で研究していたと推察される。
1981年
プロスタグランジン(ONO-802)経ちつ投与法による妊娠中期中絶
佐藤芳昭, 高橋威, 竹内正七
『現代医療』13－7、1981年
著者3人とも 新潟大医で、「昭和56（1981）年に第5代教授の竹内正七先生」とある
「ONO-802腟坐剤の妊娠中期における治療的流産効果及び頚管拡張作用--double blind controlled study」
坂元 正一 他
『産科と婦人科』（ 診断と治療社）48－10
