リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

第211回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 令和5年2月20日

2023年2月20日国会答弁で「入院は必要」と発言

100 佐々木紀(ささきはじめ 自由民主党無所属の会 石川県第二選挙区選出の衆議院議員
○佐々木分科員
<前略>
 それでは、これからは厚労省にお伺いしたいと思います。
 まず、経口中絶薬についてお伺いしたいと思います。
 現在、経口中絶薬が薬事承認に向けた手続に入っていると承知しておりますけれども、検討状況はいかがでしょうか。


101 八神敦雄(厚生労働省医薬・生活衛生局長)
○八神政府参考人 経口中絶薬の承認に向けた検討状況ということでございます。
 御指摘の経口中絶薬、ミフェプリストン及びミソプロストールといいます。これにつきましては、令和三年十二月にラインファーマ社から薬事申請がなされております。先般、一月の末に開催をされました薬食審医薬品第一部会、ここにおきまして、医薬品の有効性、安全性の観点に加えまして、本剤承認後の管理体制の面も含めて審議をされているところです。
 本剤につきましては、医薬品第一部会としては承認が了承されておりますが、社会的関心が極めて高いということから、パブリックコメントの手続を行った後、この医薬品第一部会の上位組織であります薬事分科会におきまして再度慎重に審議をされるという予定となってございます。
102 佐々木紀
○佐々木分科員 ありがとうございます。
 現在パブリックコメントにかかっているということでございますので、慎重に審議をしているということでございます。
 この経口中絶薬の使用ですけれども、母体保護法上の中絶とは言えないのではないかと考えています。
 そもそも刑法には堕胎罪というものが規定されておりまして、妊娠中の女子が薬物を用いる方法又はその他の方法により堕胎する犯罪のことです。しかし、母体保護法により、一定の要件下で人工妊娠中絶として指定医が行う場合に限り、違法性が阻却されているというものです。経口中絶薬で人工妊娠中絶を行う場合もこの母体保護法に基づく人工妊娠中絶と言えるのか、私はこれは少し疑問なのではないかなと考えています。
 同法の第二条の二項では、この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が母体外において生命を保持することができない時期に、人工的に胎児及びその附属物を母体外に排出することと規定をされています。つまり、人工妊娠中絶というのは生きている胎児を人工的に排出することでありますけれども、この薬は、一錠目を飲むと胎児の命が奪われて、二錠目の薬で亡くなった胎児を体外に排出するというものでございますから、人工妊娠中絶の定義と反しているではないかと私は考えるんですけれども、厚労省の見解をお聞かせください。


103 藤原朋子(内閣官房こども家庭庁設立準備室次長/厚生労働省子ども家庭局長)
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 母体保護法上、母体の生命健康を保護することを目的といたしまして、十四条でございますけれども、一定の要件を満たす場合、具体的には、十四条におきまして、妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれがあるものなどを想定しておりますけれども、一定の要件を満たす場合には指定医師が人工妊娠中絶を行うことができるというふうに規定をされておりまして、これが医学上適切な方法で行われる場合には法に基づく人工妊娠中絶であると解されるものと考えております。
 本経口中絶薬につきましては、投与することで薬理作用により胎児等を母体外に排出させるものでございまして、指定医師が経口中絶薬を用いて行う人工妊娠中絶は母体保護法に基づく人工妊娠中絶の定義に当てはまるものというふうに考えております。
    〔主査退席、大岡主査代理着席〕


104 佐々木紀
○佐々木分科員 確かに処方はお医者さんがして、飲むのは自分で飲んで、次、二錠目を飲むまでは自宅に帰っていいですよ、もしこういうような取扱いをされるのであれば、むしろ堕胎罪の規定の方に私は近いのではないかなと思います。
 本来、刑法の例外規定を規定しているのがこの母体保護法でありますので、その解釈というのは厳格でなければいけないと思っておりますので、柔軟解釈や拡大解釈は私はしてはならないと思っておりますので、そういった意味で考えると、この中絶薬の承認をする場合は、是非法改正を検討されたらいいのではないかなと思います。やはり、時代に合わせて、状況に合わせて法改正はきちっとやって、その下でしっかり承認をしていくということが私は必要なんだろうと思っております。
 また一方で、この経口中絶薬の承認は、改めて胎児の命の大切さとか母体保護の必要性という大変重大な問題を国民に問いかけるものであります。したがって、安易な使用につながらないように是非お願いをしたいということです。
 もう一つは、やはり母体の保護という、安全性という観点からも十分な配慮が必要だと考えています。大量出血やけいれん、感染症のおそれもあるということでもございますし、米国では死亡例もあるということでもございます。承認された場合でも、薬の管理は厳格にして、指定医がいる医療機関で使用して、中絶が完了するまで体調管理、できれば入院管理をする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。


105 八神敦雄
○八神政府参考人 経口中絶薬の取扱いについてのお尋ねでございます。
 承認後の取扱いにつきましても、審議会で御議論をいただいているところでございます。御指摘の点に関しましては、製造販売後の管理方法として、一つには、本剤の流通は、妊娠中期における治療的流産に適応を持つプレグランディン膣坐剤と同等の厳格さを持って管理をすること、二つには、ミフェプリストン経口投与及びミソプロストールの口腔内への静置、これは母体保護法指定医師による確認の下で行うこと、三つには、本剤の使用状況は、プレグランディン膣坐剤と同等の厳格さを持って記録、管理をすること等の厳格な管理を求める予定としております。
 また、本剤による人工妊娠中絶は、緊急時に適切な対応が取れる体制、これを構築をしている医療機関で行う必要があるということから、日本産婦人科医会との協議におきましても、本剤発売当初は国内での経口中絶薬の使用経験が乏しいことを考慮し、十分な使用経験が蓄積され、適切な使用体制が整うまでの間、有床施設において、外来や入院で使用されるものというふうにされております。
 いずれにしましても、本剤の承認後の取扱いも含めて現在パブリックコメントを実施をしております。今後、提出された御意見も参考に、薬事分科会において慎重に審議をされるもの、このように考えております。


106 佐々木紀
○佐々木分科員 ありがとうございます。
 薬は指定医しか手に入らないようになっているということでもございますし、ただ、これは二錠目を飲むと、排出されるまでの時間というのはかかるんですよね。やはり四時間から七時間かかる。人によっては二日かかるという人もいるようなので、飲んで、では自宅に帰ってくださいよと、もし何かそこで、出血とかいろいろ起こる可能性もあるわけでありますから、何か緊急時に対応できる体制と言うものの、やはりそこは施設の中で、医療機関の中で最後までしっかり処置をするということが私は当然必要なのではないかというふうに思います。
 そうしないと、二錠目を飲んだ後、自宅に仮に帰してしまったときに万が一そこで何かあったとき、あるいはその時点でやはり医師の手を離れているわけでありますから、先ほど申し上げたように、母体保護法上の要件、医師の処置によるものということからすると、やはり柔軟に解釈、拡大解釈につながっていくと私は思いますので、そういった意味でも、しっかりと入院管理をした中で行うということを是非お願いしたいと思います。
 いずれにしましても、承認は慎重にしていただいて、是非これは、与党に、まず部会に諮ってください。多くの皆さんの意見を聞くということを是非やっていただきたいなというふうに思います。