リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「院内待機必須というのは相当厳しい条件」

ミクスOnline 公開日時 2023/04/24 04:51

経口中絶薬・メフィーゴ 薬事分科会で承認了承 2剤目服用後の外来の院内待機必須

 厚生労働省の薬食審・薬事分科会は4月21日、国内初の経口人工妊娠中絶薬・メフィーゴパック(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール、申請者:ラインファーマ)について、より厳格な服用管理、流通・使用管理、正しい情報提供を行うことを前提に、承認することを了承した。メフィーゴは当分の間、入院可能な有床施設で入院または外来で使用することとし、今回、外来では「院内待機を必須」とすることを明確化した。厚労省の吉田易範・医薬品審査管理課長は同分科会後の会見で、「院内待機必須というのは相当厳しい条件」との認識を示した。

 正式承認の時期については、「添付文書や通知の整理をこれから進める。これらが整えば厚労大臣が承認する」と話した。

 人工妊娠中絶は母体保護法に基づき行われる。メフィーゴ母体保護法指定医師のもとで使用し、本人や配偶者の同意を得て用いることになる(配偶者が知れないときなどは本人の同意だけで足りる)。

 同剤の承認審査をめぐっては、1月27日の薬食審・医薬品第一部会で承認が了承されたが、厚労省は、社会的関心が高く、より慎重な審議を行う必要があると判断し、パブリックコメントの実施後に薬事分科会で再度審議することにした。パブコメは2月1日~28日に実施。約1万2000件のパブコメが寄せられ、その内容の整理を経て、4月21日の同分科会で承認可否が審議された。


◎院内待機の時間の目安は長くて「8時間」

 1月27日の薬食審・医薬品第一部会では、同剤の服用管理や流通・使用管理について、「妊娠中期における治療的流産」の適応を持つプレグランディン膣坐剤と同等の厳格さをもって管理する」ことが確認されていた。分科会では、パブコメの結果も参考に、服用管理方法などをより明確化し、全て対応することを前提に「承認して差し支えない」との結論に至った。

 服用管理では、緊急対応体制を講じるため、「適切な使用体制の在り方が確立されるまでの当分の間、入院可能な有床施設で入院または外来(院内待機を必須)」で使用するとされた。吉田課長は、2剤目投与後の院内待機の時間の目安について、「データ的に言うと、4時間で60%くらい、8時間で90%くらい排出されるので、長ければ8時間くらいまで待たないといけない」との認識を示した。

 また、「適切な使用体制の在り方が確立されるまでの当分の間」とは、「市販後に十分な調査研究を実施し、適切な医療連携体制のあり方について評価を行い、その結果に基づき検討・判断する」こととされ、通知で規定することになった。

 流通・使用管理については、製造販売元のラインファーマ及び各医療機関に毎月、それぞれ販売数量及び使用数量(中絶件数)を都道府県医師会に報告させるよう手順書を定めて管理することとし、ラインファーマには承認条件における「必要な措置」として規定することになった。都道府県医師会には、双方からの報告内容の整合性を確認するなどの監督を求める方針。

 正しい情報提供の充実を図ることも確認。指定医師向けの資材や適正使用ガイドを作成するとともに、ホームページなどを作成して国民向けの適切な情報提供を行うことになった。


◎国内第3相試験 人工妊娠中絶成功割合は93.3%

 メフィーゴの効能・効果は、「子宮内妊娠が確認された妊娠63日(妊娠9週0日)以下の者に対する人工妊娠中絶」。用法・用量は、「ミフェプリストン錠1錠(ミフェプリストンとして200mg)を経口投与し、その36~48時間後の状態に応じて、ミソプロストールバッカル錠4錠(ミソプロストールとして計800μg)を左右の臼歯の歯茎と頬の間に2錠ずつ30分間静置する。30分間静置した後、口腔内にミソプロストールの錠剤が残った場合には飲み込む」となる。

 メフィーゴは、妊娠の維持を阻害する抗プロゲステロン作用をもつミフェプリストン(1剤目)及び子宮収縮作用をもつミソプロストール(2剤目)を、妊娠成立後一定の時期に適切な間隔で投与することで、妊娠の継続を中断し、人工妊娠中絶に至らせるもの。ミフェプリストンは新有効成分含有医薬品、ミソプロストールは新投与経路医薬品、再審査期間は8年。

 国内第3相試験では、妊娠63日以下で人工妊娠中絶の適応となる120例において、主要評価項目とされたミソプロストール投与後24時間までに人工妊娠中絶が成功した割合は93.3%だった。主な副作用は下腹部痛(30.0%)、嘔吐(20.8%)だった。