国際女性(No.14)2000にある傍聴報告より
https://www.un.org/en/conferences/women/newyork2000
成果文書は2つ:
第23回 国連特別総会 『女性2000年 会議』傍聴報告
田中 恭子 ・近江 美保
1995年の北京会議の見直し会議は「北京+5」としてではなく、国連特別総会という形を取った。
ご存知のように,今 年(2000年)6月5~10日,1995年の第4回世界 女性会議で採択された北京行動綱領がこの5年 間,どのように実施されて きたかを検討し,今後の取組について協議するための国連特別総会 『女性2000年 会議:21世紀に向けての男女平等・開発・平和』が 開かれた。会議の詳細については,橋 本 ヒロ子さんからのご報告をお読みいただ くとして,ここではNGOとして,この特別総会に参加した立場から報告させていただくこ ととしたい。
==中略==
6.世界の女性たちがかかえる問題
3月の準備委員会での宗教保守派NGOによる行動が問題となり,今回の特別総会でのNGOに対する手続きや警備は,いつになく煩雑・厳重であった。 このような状況は,会議の進行に非協力的な一部の国の態度によって,成果文書案の検討が難航したことと合わせ,NGO関 係者の気勢をそぐものであ り,NGOによるロビイング活動も湿りがちな印象を受けた。これは,女性の地位向上について話し合う場であるはずの特別総会の場で,女性の地位向上に対する宗教や文化からの反対の大きさを改めて見せつけられたということでもある。この ような反対は,特定の宗教や文化に関わりなく,どの国においても見られる問題であり,今さらながら,女性差別撤廃条約第5条が,社会的及び文化的な行動様式の修正を求めたことの大切さを思わざるを得なかった。
==中略==
NGOワーキ ング・セ ッシ ョンをはじめとするNGOのミーティングでは,若い世代へ女性運動を引き継いでいくことの必要性を各国のNGOが強調していたことも印象的だった。特別総会で採択された「政治宣言」では,2005年に “見直し”を行うことになっているが,こ の “見直し”が世界女性会議 という形 をとるかどうかは未定である。
次回の大きな国際会議までに,世代間の連帯がどのように進むのか,どのように進めていけるのか,興味深いところで ある。7.成果文書と女性差別撤廃条約
繰り返しになるが,成 果文書案の検討はもつれにもつれ,最 終 的には会期を1日延長して,6月10日午後ようやく採択 された。今回の成果文書に初めて盛り込まれた事項もありり,それらの点については積極 的に評価されるべきであるが,その一方で,多くのNGOが懸念したとおり,実際に当初の成果文書案に盛り込まれていた数値目標や具体的な記述が削られた部分も多く,また,合意が得られない部分については,北京行動綱領の文章をそのまま引用す ることで決着した。総会の日程が進むに従って,NGOの間では,今回採択された成果文書はステップのひとつであり,今後も女性の地位向上を進めていくためには,女性差別撤廃条約や世界人権宣言,ナイロビ将来戦略 や北京行動綱領など,既存の文書も多いに活用すべきで
あるということが確認 されるようになった。
(1~3担 当:たなか きょうこ・会員 4~7担 当:お うみ みほ・会員)