リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

2020年10月の女性の自殺増加をどう見るか

令和3年5月15日(土) 厚生労働特別研究・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する母子保健領域の研究報告シンポジウム

「新型コロナウイルス感染症流行下の自粛の影響-予期せぬ妊娠等に関する実態調査と女性の健康に対する適切な支援提供体制構築のための研究」
研究代表者 安達知子(日本産婦人科医会・母子愛育会愛育病院

以下は分担研究者:種部恭子 (日本産婦人科医会・女性クリニックWe富山)の資料。

2020年の中絶相談件数と年齢分布の変化


以下は「令和2年中における自殺の状況」令和3年3月16日 厚生労働省自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課より

令和2(2020)年自殺の月別動向

10月に女性の自殺率が異様に高くなっていることが一目瞭然。
◎未成年とそれ以外を分けた統計もあったはずだが見つけられず、保留にする。

こうした自殺急増の背景には、芸能人の自殺報道が影響していると見る向きもある。たとえば、在英国際ジャーナリストの木村正人氏は(2020/9/27(日))次のように述べている。

 NHK連続テレビ小説「あすか」で主役を務めた俳優の竹内結子さん(40)が9月27日未明、都内の自宅で亡くなっているのが見つかりました。現場の状況から自殺とみられるそうです。

 自殺の原因は健康、経済・生活、家族問題などさまざまですが、新型コロナウイルスの大流行で今年8月の自殺者は昨年同月より240人も増えて1849人(15.3%増)になっています。

 自殺対策や生活困窮者自立支援制度が整備され、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は最悪だった2003年の27人(男性は40人)から昨年は16人(同22.9人)にまで減りました。しかしコロナが日本国内で流行し始めてから有名人の自殺が相次いでいます。

・5月23日未明、ネットフリックスで世界中に配信されたフジテレビの人気リアリティ番組テラスハウス」に出演中の女子プロレスラー、木村花さん(22)が自身のインスタグラムに「愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね」と猫と一緒の写真を投稿したあと自殺。

・7月18日午後、9月から始まるTBS系連続ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」に出演予定だった俳優の三浦春馬さん(30)が東京都港区の自宅マンションで首をつって自殺しているのが見つかる。

・9月14日午前、NHK大河ドラマ「八重の桜」や今年1月に公開された映画「AI崩壊」にも出演した俳優の芦名星さん(36)が東京都新宿区の自宅マンションで亡くなっているのを親族が発見。自殺とみられる。

・9月20日未明、舞台「ロッキー・ホラー・ショー」などの演技で1986年度の菊田一夫演劇賞を受賞した俳優の藤木孝さん(80)が東京都中野区の自宅で死亡しているのを同居する息子が発見。自殺とみられる。

コロナ禍における自殺の動向 10月の自殺急増の背景について 令和2年12月21日

厚労省の課研調査も行われた。
新型コロナウイルス感染症流行下の自粛の影響-予期せぬ妊娠等に関する実態調査と女性の健康に対する適切な支援提供体制構築のための研究
この研究では、次のようなコメントもみられる。

④ 自粛下、孤独や貧困、失業などが進行し、前年比自殺が増え、特に女性の自殺が顕著であった.

この研究では次のような結論を出している。

▼10月に自殺が急増したのは、
1)新型コロナの影響により、社会全体の自殺リスクが高まっていること(自殺の要因となり得る、雇用、暮らし、人間関係等の問題が悪化していること) に加えて、
2)相次ぐ有名人の自殺および自殺報道が大きく影響した可能性(ウェルテル効果の可能性)が高い。