リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

遠隔医療を利用した自己管理による中絶の10年間の評価: 後方視的コホート研究

2009年1月から2020年1月までの10年間にWomen on Webのサービス利用者30,344人の追跡評価を分析したレトロスペクティブ研究

10-year evaluation of the use of self-managed abortion through telemedicine: A retrospective cohort study.10-year evaluation of the use of self-managed abortion through telemedicine: A retrospective cohort study – Women on Web


仮訳します。

目的 本研究の目的は、内科的中絶を自己管理する大規模な女性グループの使用、受容性、転帰に関する洞察を提供することである。
デザイン: レトロスペクティブ・コホート研究。

設定: 世界中の自己管理による中絶。

集団/サンプル: 2009年1月から2020年1月までに遠隔中絶サービスWomen on Webの追跡調査を完了した30344人の女性。

方法: 評価フォームの分析、二項ロジスティック回帰を実施し、全サンプルについて年度と転帰の関連を検証した。

主要評価項目: 年齢、経済状況、居住国、中絶薬に関する知識、受容性などの人口統計学的情報。1年あたりの完全流産、外科的介入、妊娠継続、輸血の割合。

結果: 183カ国の30344人の女性が追跡調査を完了した。合計で26076人の女性が内科的中絶薬を服用したと報告し、そのうち1.5%が妊娠継続中、10.2%が外科的介入、0.6%が輸血を報告した。99%の女性が、薬による中絶は受け入れ可能な方法であると回答した。35%がこのサービスを受けるために寄付をするのは難しいと感じ、8.5%が無料でサービスを受けた。59.2%が、Women on Webを見つける前に内科的中絶について知っていたと報告している。
 2009年と比較して、2019年の完全中絶は有意に増加し(OR= 1.92; 95% CI: 1.59 - 2.31)、外科的介入は減少した(OR= 0.49; 95% CI: 0.40 - 0.60)。

結論: 本研究で得られた26076件の自己管理中絶の結果は、これまでの研究と一致しており、遠隔医療による内科的中絶が安全で効果的であり、女性に非常に受け入れられることを示唆している。