リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶への配偶者同意について

情報更新

1992年 米最高裁は「ケイシー対家族計画連盟」で中絶問題を再検討した際に、「配偶者の中絶計画を知った夫が虐待や妨害に走る可能性があるとして、配偶者同意条項は不当な負担となる」との判断を示した。


2022年5月の国会で、承認手続き中の経口中絶薬をめぐって厚労省が「母体保護法の規定に基づき、原則、配偶者同意が必要」と答弁したのに対し、6月28日中絶の配偶者同意は女性の自己決定権を奪っているとして、8万人分の署名を提出し、同規定の廃止を要望。要望後、厚労省担当者から「国民の間でも様々な議論がある」との回答があった。


2022年12月5日 配偶者の同意がないまま女性に人工妊娠中絶手術をしたのは母体保護法違反だなどとして、女性の夫が産婦人科医に慰謝料200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)は夫側の請求を退けた1審・那覇地裁沖縄支部の判決を支持し、控訴を棄却。


2023年 日本に対するUPR審査で「配偶者同意」に言及:メキシコ、デンマークニュージーランドアイスランド


WHOのデータベース(https://abortion-policies.srhr.org/)で調べたところ、中絶にSpousal Consentが義務付けられている国は以下の15か国。
アフリカ(2カ国):Equatorial Guinea(カトリック)、Morocco(イスラム
アジア(中東含む 13か国):Bhutan(チベット仏教)、Indonesia(イスラム)、Japan(神道・仏教), Kuwait(イスラム)、Oman(イスラム)、Qatar(イスラム)、Republic of Korea(キリスト教・仏教)、Saudi Arabia(イスラム)、Syrian Arab(イスラム)、Timor Leste(カトリック)、Turkey(Türkiye)(イスラム)、United Arab Emirates(イスラム)、Yemen(イスラム
15ヶ国中10か国がイスラム教が主の国で、カトリックが2か国、その他が3か国です。