リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

令和4年版 少子化社会対策白書 全体版(PDF版)より

2 出生数、出生率の推移

R4少子化社会対策白書

諸外国の合計特殊出生率の推移
 諸外国(フランス、アメリカ、スウェーデン、イギリス、ドイツ、イタリア)の合計特殊出生率の推移をみると、1960年代までは、全ての国で2.0以上の水準であった。その後、1970年から1980年頃にかけて、全体として低下傾向となったが、その背景には、子供の養育コストの増大、結婚・出産に対する価値観の変化、避妊の普及等があったと指摘されている1。1990年頃からは、合計特殊出生率が回復する国もみられるようになってきている。(第1-1-4図)
 特に、フランスやスウェーデンでは、合計特殊出生率が1.5~1.6台まで低下した後、回復傾向となり、2000年代後半には2.0前後まで上昇した。これらの国の家族政策の特徴をみると、フランスでは、かつては家族手当等の経済的支援が中心であったが、1990年代以降、保育の充実へシフトし、その後更に出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備、すなわち「両立支援」を強める方向で政策が進められた。スウェーデンでは、比較的早い時期から、経済的支援と併せ、保育や育児休業制度といった「両立支援」の施策が進められてきた。また、ドイツでは、依然として経済的支援が中心となっているが、「両立支援」へと転換を図り、育児休業制度や保育の充実等を相次いで打ち出した1。しかしながら、フランスやスウェーデン合計特殊出生率は2010年頃から再び低下傾向にあり、2020年ではそれぞれ1.82、1.66となっている。家族関係社会支出の対GDP比を見てみると、我が国の家族関係社会支出は、児童手当の段階的拡充や、保育の受け皿拡大により、着実に増加してきたが、1.73%(2019年度)となっている2。国民負担率3などの違いもあり、単純に比較はできないが、フランスやスウェーデンなどの欧州諸国と比べて低水準となっており、現金給付、現物給付を通じた家族政策全体の財政的な規模が小さいことが指摘されている。(第1-1-5図)

R4少子化社会対策白書


 しかし、『子育て罰』によれば、2022年に児童手当は高所得層(世帯主年収1,200万円以上)ではもらえなくなり、2020年の高等教育の無償化も中所得層(目安年収590万円未満)以上は受けられないのです。


下記の記事によると、「異次元の少子化対策」による児童手当の拡充の目玉である「3人目は3万円」というのは、児童手当対象年齢にある子どもが3人いる場合に限り、上の子が高校を卒業してしまうと、3人目の子どもは「第2子」扱いになって年額1万円の支給に減額されるとのこと。
【児童手当の拡充】2024年12月へ前倒し「3人目は3万円」の落とし穴とは? 年3回の支給、拡充後は年6回支給へ LIMO Life & Money 2023.11.15 14:50 公開 執筆者木内 菜穂子


また、財源としては「負担能力に応じて医療保険料に上乗せして徴収する方針」が示された。
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結局、子ども家庭庁を作るために公務員を増やしたのではないのと同様に、福祉予算の中で予算をぐるぐる回しているだけで投入する公費を増やすわけではない。「異次元の少子化対策」と言うのなら、たとえば平和外交をどんどん進めて軍事費を大幅にカットし、その分で、産んでも産まなくても責められ、労働市場で安く買いたたかれて疲弊しきっている女性たちを厚遇し、「産んでも産まなくても安心」できる社会保障を手厚くすることで、「産んでもいいかな」「育てられそう」と思える人が増えていくような社会に変えていくしかないと思うのだが。