リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本母性保護醫協會~日本産婦人科医会の系譜と「社団法人」問題

関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

よくまとまっているのでメモさせて頂きます。

第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【日本産婦人科医会共催シンポジウム】
母体保護法改正の推移と改正点について

永山 雅之
群馬県医師会理事/群馬県産婦人科医会副会長

 母体保護法は,その前身である優生保護法が昭和23年に公布され,人工妊娠中絶に対する指定医師制度ができ現在に至っている.昭和24年全国の優生保護法指定医師をもって組織する「日本母性保護醫協會」が創設され,昭和27年(1952)に社団法人の認可を受け,「社団法人日本母性保護醫協會」になった.平成5年の障害者基本法の制定,平成6年の国際人口開発会議「行動計画」の採択,平成7年の世界女性会議「行動綱領」の採択などから平成8年に優生保護法の優生思想の部分が削除され,名称を改め母体保護法が成立した.一方,日本母性保護醫協會は 平成6年(1994)には「社団法人日本母性保護産婦人科医会」と定款を改定して名称変更,さらにその後,平成13年(2001),「日本産婦人科医会」と名称変更しまた,平成23年(2011)4月に公益社団法人の認可を受け現在に至っている.
 母体保護法はこの間に何度か改正されており,その都度,日本医師会から指定医師の指定基準モデルが見直されて都道府県医師会に通達されている.医師に対して法律上の資格を付与する場合には,必ず政府機関が介在しているのに反して,人工妊娠中絶という非常に重要な問題に関与する医師を指定する指定権限を民間団体がもっていることは一大特色である.都道府県医師会は,厳格なプロフェッショナル・オートノミーを発揮し,母体保護法の適切な運用に努めている.
 平成18年に公益法人制度改革に関する3つの法律が公布され,それに伴い母体保護法の一部改正が行われた.第3章母性保護の第14条は都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会・・・から公益社団法人たる医師会・・・に変更された.これは一般社団法人に移行した都道府県医師会は指定権を失い,当該都道府県医師会は指定医の空白地帯になることを意味する.問題解決のために日本医師会でプロジェクト委員会を立ち上げ,今まで通り一般社団法人となった都道府県医師会が従来通りの指定権を持てるように与野党議員へのロビイングの展開や国への要望を行った結果,母体保護法附則に公益社団法人および特例社団法人以外の一般社団法人であって,法改正の施行の際特例社団法人を含むものとした.ただし厚生労働大臣は・・・必要があると認めるときは,報告を求め,又は助言若しくは勧告をすることができることとした.これにより,すべての都道府県医師会に母体保護法指定医師の指定権が付与されることになった.