リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

母体保護法医指定権限をもつ県医師会の公益法人化(できない)問題

母体保護法指定医問題

http://www.jaog.or.jp/sep2012/know/kisyakon/42_110309.pdf
そういえば、上記の日本産婦人科医会会長寺尾 俊彦氏(当時)の第42回記者懇談会(2011.3.9)資料のスライド17,18で示されていた「公益法人制度改革」による母体保護法指定医を指名できない都道府県が出てくるという問題はどうなったのか?

公益法人制度改革(平成18年6月2日公布、平成20年12月1日施行)

母体保護法第14条
医師の認定に依る人工妊娠中絶可能な医師は
都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師」
と改正された。

公益法人制度改革への対応についての調査(21年10月)
公益法人移行予定: 13医師会
一般社団法人移行予定: 6医師会
検討中: 22医師会

母体保護法施行令 平成24年1月20日
第1条
 都道府県知事は、母体保護法第15条第1項の規定による指定をしたときは厚生労働省令で定める様式による指定証を当該指定を受けた者(被指定者)に交付しなければならない。
2 都道府県知事は、(被指定者から申請があったときは、厚生労働省令で定める様式による標識を交付しなければならない。

母体保護法施行規則 平成27年8月4日
第2章 母性保護
第8条 指定医師の標識の交付
 都道府県の区域を単位として設立された公益法人たる医師会は、法第14条第1項の規定により医師を指定したときは、別紙様式第7号による標識をその医師に交付するものとする。
第9条 指定の申請
第10条 指定証及び標識
第15条 指定の取消
第16条 認定の申請
第17条 認定講習の認定基準

 この標識の交付元が認定機関なんですね。

 実際、島根県医師会福井県医師会はまだ一般社団法人である。こうした都道府県での母体保護法医の指名権は、いったいどうなっているのだろう。

 もし、ただの民間団体でしかない「一般社団法人」が指名権をそのまま引き継いでいるとしたら、母体保護法がそうした団体に業務独占の権限を与えているのは法的に問題があるのではないか。