リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶薬を承認しても提供しない日本の指定医師たち

1年経っても提供施設が増えず女性にとって実質的な「選択肢」になっていない!


日本産婦人科医会の会員は1万人以上おり、全国で4000か所以上の中絶提供施設がある。なのに、もうじき承認から1年目を迎える今でも「中絶薬」を提供している施設は100か所程度。3%にも満たない。全く提供施設のない県も未だにある。入院または院内待機のルールを見直すための、発売後半年間調査の結果すら明らかにされていないし、配偶者同意撤廃の法的議論も始まっていない。これでは承認した意味がほとんどない!

日本産婦人科医会、通称「医会」だ。1万1769人(今年3月末時点)の会員を擁する。

今春承認された経口中絶薬「メフィーゴパック」を扱う医療施設は7月23日の時点で34カ所。指定医師のいる施設は全国に4176はある(2019年)が、その1%にも満たない。


3/28 わたしの”身体”は誰が決める?『コール・ジェーン』から考えるSRHR
上記イベントに参加していた福田和子さんの報告によると、未だに登録施設は100件程度とのこと。まだ3%にも満たない。


一方、アルゼンチンでは準備万端整えて承認し、すぐに使い始めた。ただの解禁ではなく、事前に国内製造と流通までしっかり準備して、あらゆる医療機関で使えるようにし、3月8日の女性デーに認可するという余裕ぶりであった。


男女平等のレベルが高い国では、手術による中絶に比べてMAの頻度が高く、使用できる妊娠週数が長く、政治・経済領域に占める女性比率が高まると中絶サービスのあり方が変わることを示唆する調査結果も出ている。


中絶薬が広まらないのは、日本のジェンダー平等が進んでいないためでもありそうだ。

keyword: 指定医師数、母体保護法、指定医師のいる施設