東京新聞 2024年4月2日 06時00分
日本国憲法の肝心なところは「個人の尊重」を定めた13条だと言ってきた樋口さん。
「人間尊重などと言いますが、単なる『人間』という言葉は要注意です。全体のためにいけにえを差し出すことこそが人間的だ、という考えもありますから。戦争中の特攻隊などは、そういうふうに美しく飾られました。だから、代替物のない個人というところに突き詰めてこそ、初めて意味がある。それを本気で認めるかどうか。その一点で、憲法観の基本が分かれると思います」
だから、現行憲法が「個人として尊重」としているところを、自民党の改憲案が「人として尊重」としている点を危ぶむ。個人が単なる人的資源におとしめられかねないからだ。