朝日新聞デジタル記事 大貫聡子2024年4月10日 9時00分
有料記事ですが、無料で読めたところまで紹介します。
https://www.asahi.com/articles/ASS3X44MCS2JTLVB00D.html
売春のための客待ちをしたとして、女性たちが摘発される事件が相次ぐ。売春防止法が「売春の相手方となるよう勧誘」する行為に罰則を科しているためだが、性売買そのものには罰則がないため買った側は摘発されない。フランスでは売春の状況にある人を保護すべき存在と捉え、ケアや支援に取り組む。2016年には買春する側に罰則を科す法律が制定された。どんな理念が背景にあるのか、取材した。
売春する未成年は被害者
ルーブル美術館の隣にある「QJ」の表示が掲げられた建物。玄関から入って階段を上がると、明るくカフェのようなスペースやテラスに若者が集い、お茶を飲みながらおしゃべりをしたりパソコンで作業をしたり。若者向けの仕事や住まいの情報など、20近い団体がサービスを提供しているパリの青少年センターだ。ここに、未成年売春被害ケア専門団体「オペリア」も入る。
フランスは2002年に性売買に関わる未成年を保護する法律をつくり、売春する未成年を被害者と規定した。政府も未成年の保護に力を入れる。
「こうした未成年を対象とした専門団体は各県にあります」。オペリアでセクソロジスト(性カウンセラー)を務めるクロード・ジョルダネラさんは説明した。
ジョルダネラさんはもともとは看護師。高校や中学で性感染症予防などに取りくんでいたが、04年にセクソロジストの資格を取得した。「『性的健康』は人間の土台だと考えたからです」と話す。
性的健康という言葉は、日本ではあまり耳なじみがないが、WHO(世界保健機関)は「性に関して身体的、情緒的、精神的、社会的に良好な状態」と定義する。フランスでは、売春をする状況は性的健康が傷ついている状況だととらえるという。