リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ふぇみん2024年5月15日(水曜日)ぴーちくぱーちくvoices寄稿

標記の通り掲載されました

経口中絶薬をもっと利用しやすくしてほしい
塚原久美


 2022年4月、英国ラインファーマ社が承認申請した経口中絶薬が、にわかに国内の多様なメディアに取り上げられるようになりました。薬の安全性や有効性、当面は入院して服用させること、料金は従来の外科手術と同等の10万円など、厚労省や日本産婦人科医会も情報を提供していました。しかし、昨年4月28日に厚生労働省がメフィーゴパックの製造販売を承認し、5月16日にラインファーマ社が発売を開始したとのニュースが流れたのを最後に、中絶薬に関する記事はめったに見なくなりました。
 ラインファーマ社が公表している「中絶薬について相談できる病院・クリニック」のリストは、承認直後の4月末には22か所を掲載、発売3か月後には52か所、半年後には82か所、1年後の現在は141か所に増えましたが、未だに中絶を行える医療施設4176か所(2020年)のわずか3%にすぎません。
リストにある医療機関名をクリックすると、赤ちゃんの笑顔や妊婦の写真、「幸せなお産」等の文字が散りばめられたホームページが出てくることが多いのも、あまりに配慮に欠けています。
 料金は10万円~16万5千円と幅があり、薬のみで終わらない場合に4~5万円の追加手術料金を請求するところもあります。
 1セットの薬を一度服用しただけでは中絶が完了しない場合、WHOの推奨通り3時間おきに二剤目を追加服用すれば、成功率は100%に限りなく近づきますが、日本ではその方法は認められていません。国内の運用方法の見直しが望まれます。