リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

人工中絶、広がる選択肢 飲み薬の使用始まる―負担軽く、課題は拘束時間

JIJI.com 2023年06月18日07時10分

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 国内で初めて4月に承認された人工妊娠中絶のための飲み薬が、医療現場で使われ始めている。実際に使用した妊婦からは「精神的、身体的な負担を軽減できる。選択肢が増えたことは良かった」と評価する声が上がる一方、処方した医師らは「妊婦、医師ともに拘束時間が長く、運用方法を改善する必要がある」と指摘する。
中絶方法に新たな選択肢 女性の負担減、費用面に課題―経口中絶薬

 処方が始まったのは、英製薬会社ラインファーマが開発した「メフィーゴパック」。妊娠9週までの妊婦が対象で、2種類の薬を36~48時間の間隔を空けて服用する。
 この薬を処方しているフィデスレディースクリニック田町(東京都港区)の内田美穂院長によると、8日時点で20~40代の女性11人が服用し、中絶をした。重大な副作用はなかった。
 器具を使う従来の方法では、一般的な手術時間は10~15分程度で、妊娠初期(12週未満)までは日帰りで受けられる。これに対し、経口中絶薬は、1剤目を服用してから中絶が完了するまで3日程度かかる上、現在は厚生労働省の通知で2剤目を飲んだ後の院内待機が必須とされており、処方は有床の施設に限られる。
 内田院長は「精神、身体的な負担が少ないことから経口中絶薬を選択する患者もいる」とした上で、「時間がかかるため受け入れ人数には限りがある」と話す。海外では2剤目は自宅で内服、待機できるといい、運用方法の改善を求めている。
 東京大大学院医学系研究科の大須賀穣教授(産科婦人科学)は「女性の働く環境や健康に対するサポートが整っていない現状を踏まえると、(経口中絶薬を選ぶ割合が)急速に増えるということは考えにくい。欧米でも50%を超えるまでに10~20年かかったので、日本でも10年くらい必要ではないか」との見方を示した。