社団法人日本産婦人科医会 平成22年2月20日
2010年の文書ですね。
少子社会における出産費用-その支援のあり方-
私の知る限り、「出産一時金」という言葉が使われるようになったのは平成6(1994)年で、この時、それ以前の分娩費と育児手当金を一つにした。中期中絶の分娩にもこの手当が出るのは、育てない子どもの育児手当分まで支払われている(多くは医師の懐に入る)ことになる。
この文書の出産費用の支援の項をコピペします。西暦は私が付け加えました。
I-5「出産費用の支援:これまでの経緯」
わが国の出産費用への支援は、健康保険法が施行された昭和2(1927)年の現金給付に始まる。昭和 21(1946) 年に、標準報酬月額の半分を支給する方法が導入され、経済的に安定した昭和 29 (1954)年に広くこの方式がとられるようになり、出産一時金として定着した。一方、昭和 23(1948) 年に生活困窮者に対しては、児童福祉法の下に入院助産制度が実施された。
昭和 36 (1961)年には国民皆保険制度が導入され、被保険者、配偶者にはそれぞれ6,000 円、3、000 円の現金給付となった。昭和 48(1973) 年には、被保険者と配偶者に給付される額が 60,000 円と同額になり、その後も金額は経済成長に伴い増額されてきた。
平成6(1994)年には、これまでの出産一時金と育児手当金を統合して、出産育児一時金が創設され 300,000 円となった。平成 18 (2006)年には 350,000 円となり、平成21 年には 390,000 円(平成 23 年 3 月までの暫定措置)となった。(同時に、出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度が導入された。)
なお平成 21(2009) 年には産科医療補償制度の導入で、同制度加入施設で出産した場合は、さらに 30,000 円が補てんされている。
これ以降については2022年10月19日のブログにまとめてあります。
同じ文書に気になる記述を見つけてしまった。
第II章「出産費用の現物給付化の不合理性と問題点」
妊娠・出産はリプロダクティブ・ヘルス/ライツの観点からは、女性の自己決定権・選択の自由の行使とみなすことができる。自己決定にかかわる事象に、不慮の傷病に備えて構築された現行の医療保険における療養の給付、すなわち現物給付を適用することは、その趣旨からも不合理である。一方、予期せず異常妊娠・異常分娩となった場合に、これを疾病として現物給付とする現行制度は妥当である。 したがって、自己決定、自己選択による妊娠・出産を選択的医療として、基本的には自己負担とすべきとの主張も成り立つ。しかし、国民は、国家を構成する三要素の一つであり、国家は国民によって構成される団体なのであるから、国家構成員である国民の減少を防ぐことは、国家にとって当然の責務である。そして、出産は次世代繁栄の礎であり、子は社会の宝とする国民文化を大切にするならば、妊娠・出産の経済的支援を国民あるいは社会が全体として保障、援助すべきであり、それこそが国家の品格としてふさわしい。理想的には、医療保険制度の枠組みから独立した国家財政から全額支給される制度が望ましい。しかし、直ちに実現が困難な状況であれば、現行の現金給付を堅持する方が現物給付化に比してはるかに国民を利する制度である。その根拠を、出産費用を現物給付化した場合の実際に即して以下に検討する。
以下略。