リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

人間というものは、様々なそういう悩みや苦しみを、あるいは悲しみというものを持って生きるもの

第208回国会 参議院 法務委員会 第3号 令和4年3月16日

とんちんかんで無責任な古川厚労大臣の答弁に唖然とし、猛然と怒りが湧きおこってきた。

125 山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
昨年五月三十一日、名古屋地裁岡崎支部は、自分が産んだ赤ちゃんを遺棄したとして、当時二十歳だった元看護学生に懲役三年執行猶予五年の有罪判決を下しました。報道によりますと、女性は妊娠が分かってすぐ赤ちゃんの父親に当たる小学校の同級生にSNSで連絡し、二人で中絶を決め、その同級生は医師に求められた中絶の同意書にサインすることも約束していました。しかし、その後、連絡が取れなくなり、サインがもらえず、予約した手術を二回キャンセルしました。ほかの病院でも同意書が必要だと言われて、中絶できる期間を過ぎてしまったということです。通学途中に下腹部からの出血で公園のトイレに入り、その後の意識は曖昧で、気付いたときには出産し、そして、その後、赤ちゃんは死亡していたということでありました。本当に痛ましい事件だと思います。
 コロナの下でDVや性暴力の相談件数が増えています。この事件だけでなく、望まない妊娠に苦しむ女性が少なくありません。大臣、こうした状況についてどのように認識、お持ちでしょうか。


126 古川禎久
国務大臣古川禎久君) 人間いろんなそれぞれ人生があって、その中で思いもせぬ、あるいは望みもしない中で妊娠するということはあり得るでしょう。一概に、神のような目で一概にこうだと言うことはできませんけれども、人間というものは、様々なそういう悩みや苦しみを、あるいは悲しみというものを持って生きるものだろうということだと思います。


127 山添拓
○山添拓君 余り、仕方ないという感じになると、ちょっと今日の議論として立ち行かなくなってしまうのですが、やはり、その望まぬ妊娠をし、中絶を希望する。しかし、同意が得られない。中絶期間を過ぎてしまう。そして、孤独の中で出産し、いや、本当に苦しい状況に置かれたと思うんですね。似たような境遇に置かれる事件、これは過去にも起こっていますし、報道もされているところです。
 私は、その背景には、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、性と生殖に関する健康と権利についての日本の政治や社会における著しい遅れが横たわっていると思います。
 このリプロというのは、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツというのは、一九九四年の国際人口開発会議、カイロ会議の成果文書で盛り込まれたものです。二〇一六年には社会権規約、二〇一九年には自由権規約のそれぞれ一般的意見で、中絶は権利であり、安全かつ合法的、効果的な妊娠中絶へのアクセスを提供すべきだとされました。安全な中絶は国際的にも確認されてきた女性の大切な権利であります。ところが、国内の人工妊娠中絶は、危険で、身体的にも精神的にも苦痛を伴う掻爬法、かき出す方法が中心です。WHOは廃れた手法と呼んでいます。
 厚労省は、昨年七月、掻爬法よりも安全な吸引法を推奨するということを日本産婦人科医会と日本産婦人科学会の会員に周知するよう依頼しています。資料もお配りしています。吸引法を採用するところは増えたのでしょうか。厚労省、お答えください。