リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

厚労省:中絶費用は把握してない 中絶薬でも配偶者同意は必要

第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号 令和4年5月17日

酷すぎる実態に福島みずほ議員が切り込んでいます!

041 福島みずほ
(引用者注:出産費用について)諸外国では、保険化したり無償化したり、多いです。なぜ日本ができないのか。これについて、是非保険適用、そして無償化に向けていくように要望を強く申し上げます。次に、人工妊娠中絶費用が高過ぎるという問題について申し上げます。
 出産育児一時金医療機関への直接支払制度によって、その現金給付を中期中絶の費用に充てているケースもあります。初期中絶の方が危険や心身の負担が軽いですが、現金給付が出る時期まで妊婦に待ちを誘導することもあります。この委員会でも質問がありましたけれども、理由はやはり人工妊娠中絶費用が高過ぎるという問題があります。初期で十万から十五万、中期で四十万とかですね。女性による女性のための相談会などをやっていると、中絶費用が出せない、中絶ができないという声も本当に聞いております。
 この費用について、日本におけるリプロダクティブヘルス・アンド・ライツを損なっているんじゃないでしょうか。
042 浜谷浩樹
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○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 保険適用されない場合の人工妊娠中絶につきましては、自由診療になるため、正確な費用把握をしていないところでございます。
 なお、治療上中絶が必要な場合、例えば重度の妊婦高血圧などの理由で妊娠の継続が母体にとって危険な場合については保険適用しているところでございます。
043 福島みずほ
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福島みずほ君 いや、十代、二十代、あるいは望まない妊娠をして出産をして遺棄するという事件が後を絶ちません。こういうことがある国というのを変えたいというふうに思っています。
 厚生労働省は内密出産やいろんなことにも努力されていることは敬意を表しますが、まさにこの中絶費用が高過ぎる、もうお金出せないんですよ。このことについて是非検討してくださるようにお願いいたします。
 WHOの二〇一二年ガイダンスと二〇二二年ガイドラインがあります。これに関して、二〇一二年のガイダンスは、安全な方法として中絶薬を推奨しております。そして、薬事承認がされ、中絶薬の安全性、有効性が確認をされた場合は、厚生労働省の方として中絶薬について依頼文を出していただきたいというふうにも思っております。
 この中絶について、後からの中絶薬のところでも聞こうと思いますが、中絶について、配偶者、親又は病院当局の許可を要件とすることは、女性のプライバシー権や両性の平等に基づく女性の医療ケアのアクセスを侵害すると指摘をしております。これは日本の母体保護法の配偶者同意要件と完璧に矛盾しますが、いかがですか。
044 橋本泰宏
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○政府参考人(橋本泰宏君) 妊娠中絶につきましての配偶者の同意という点だと思いますが、法律上、仮に経口中絶薬が承認されて経口中絶薬を用いた人工妊娠中絶を行う場合におきましても、原則として配偶者の同意が必要となります。
 ただし、強制性交の加害者の同意を求める趣旨ではなく、また、妊婦が配偶者暴力被害を受けているなど婚姻関係が実質破綻しており、人工妊娠中絶について配偶者の同意を得ることが困難な場合は、本人の同意だけで人工妊娠中絶が可能でございます。
 人工妊娠中絶につきましては、今委員おっしゃったような女性の自己決定というふうな観点からの御意見、また胎児の生命尊重といった観点からの御意見など、様々な御意見が国民の間でも存在しており、また、個々人の倫理観や道徳観、家族観、そういった、様々そういった問題に関わる深い難しい問題であるというふうに認識いたしております。
 厚生労働省としては、母体保護法の規定の在り方については、このような国民各層における議論が深まることが重要と考えておりまして、引き続き、所管省庁として、関係省庁や関係団体等と連携して母体保護法の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
045 福島みずほ
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福島みずほ君 リプロダクティブヘルス・アンド・ライツは、まさに国連のカイロ行動宣言、北京宣言、北京行動綱領、ニューヨーク特別会議でも合意が得られて日本も合意していますし、第五次男女共同参画計画においても特に重要と記載をされております。胎児の生命尊重といいますが、論点が全く違います。厚生労働省は、女性のリプロダクティブヘルス・アンド・ライツを認めないんですか。
 配偶者の同意要件というのは、女性が、配偶者が反対、同意してくれなければ中絶そのものができない、出産を強要されるという問題です。二人で話をするという話でもないんです。中絶をするのに本人で判断できないんですよ。これはまさしく女性のリプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、侵害していると思います。
 これ、胎児の生命尊重と違う話です。また、胎児の生命尊重というのは女性のリプロダクティブヘルス・アンド・ライツと対立すると思いますが、いかがですか。しっかり女性のリプロダクティブヘルス・アンド・ライツに立つという形で母体保護法を見直すべきじゃないですか。
046 橋本泰宏
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○政府参考人(橋本泰宏君) WHOの中絶ケアガイドラインなどについても、そういった様々な推奨あるいは非推奨ということがなされているということについて承知しておりますが、やはり同意と、配偶者の同意というポイントのみならず、人工妊娠中絶ということそのものについての在り方をめぐりまして、様々な国民の間で御意見があるものというふうに承知いたしております。
047 福島みずほ
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福島みずほ君 WHOから言われていて、なぜそれが実現できないのかと思います。
 また、今年三月に出たガイドラインに関して、厚生労働省で是非翻訳をしていただきたいと思いますし、これを、この世界標準となるガイドラインに基づいて、人工妊娠中絶の在り方、法制度の見直し、改善するということを是非やっていただきたい。いかがですか。
048 橋本泰宏
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○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたのは、中絶ケアガイドラインというWHOの方で出しているものかというふうに思っております。
 仮訳があることについては承知いたしておりますけれども、この取扱いについてはまたいろいろ検討させていただければと思います。
049 福島みずほ
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福島みずほ君 中絶の堕胎罪がありますが、この自己堕胎罪について警察庁に聞きましたところ、検挙した件数、二〇一七年二件、二〇一八年二件、二〇二〇年三件、二〇二一年二件です。
 法務省にお聞きをいたします。
 これに関して、まさに刑法の堕胎罪、二百十二条の堕胎罪に基づいて有罪となった、起訴されたケースがあるのかどうか、教えてください。
050 竹内努
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○政府参考人(竹内努君) 平成二十三年から令和二年の十年間で見ますと、各年における刑法第二百十二条の堕胎罪の起訴件数でございますが、いずれもゼロ件であるとされております。
051 福島みずほ
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福島みずほ君 ゼロ件なんですね。起訴されているケースはないんです。でも、ベトナム人技能実習生などで自己堕胎罪、検挙された例はあります。
 堕胎罪について、もう本当に、起訴されているケースも有罪となっているケースもない。本当にこの堕胎罪、あるべきなのかということについて、撤廃すべきではないかということを強く申し上げます。
 次に、緊急避妊薬についてお聞きをいたします。現在どういう状況でしょうか。
052 鎌田光明
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○政府参考人(鎌田光明君) 緊急避妊薬のスイッチ化のお尋ねかと存じますが、緊急避妊薬のスイッチ化については、まず、何度かお尋ねありましたように、平成二十九年十一月に、会議におきまして、性教育の問題ですとかあるいは薬剤師の研修などという課題があるということで時期尚早ということになったわけでございますけれども、令和三年五月に要望等があったものですから、六月から、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議というところで検討を開始しているところでございます。
 元々、今御紹介申し上げましたように、平成二十九年の課題がどのように実行されているのかという現状、あるいは今までの状況などを紹介しつつ、さらに海外ではどのような状況かということを今議論していただいておりまして、さらには、性暴力救援センターにおける性被害の実態等も含めて議論を行っているところでございまして、引き続き迅速かつ適切に議論を進めてまいりたいと考えているところでございます。
053 福島みずほ
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福島みずほ君 緊急避妊薬はアフターピルとも言われ、七十二時間以内に飲めば、一〇〇%近く妊娠を避けられるというものです。ただ、土日、医療機関が開いていなかったりして、薬剤師の皆さんに今研修をしていて、医者の処方箋なくして薬局で、そこできちっと説明を受けて処方してもらう、あるいはその緊急避妊薬を入手できるというようにすべきだというふうにも考えます。改めて要望しますが、いかがですか。
054 鎌田光明
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○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘のとおり、緊急避妊薬を入手していただくためには、現在医師の処方があるということでございまして、OTC化について検討しているわけでございますけれども、科学的根拠に基づく薬剤そのものの安全性や有効性に加えまして、御指摘のございました薬局における適正販売、適正使用が本当に確保されるのか、あるいは悪用されないかなど、様々な観点から今課題と対応策について御検討いただいているところでございますので、引き続き迅速かつ適切に議論を進めてまいりたいと考えております。
055 福島みずほ
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福島みずほ君 安心、安全な避妊や中絶の方法、アクセスできる、これはまさにガイダンスやガイドラインが言っていることです。できるだけ早い方が身体的な負担も本当に少ないですし、是非、諸外国では処方されている緊急避妊薬、入手できる、それを日本でも本当にやるべきだと思います。是非進めていただけるように強く要望します。
 次に、中絶薬についてお聞きをいたします。
 諸外国では、いろいろグラデーションありますが、七百円、千円未満で入手できると。日本ではこれ今申請がされて、年内にはこれが認められるかどうかという段階です。値段、入院の必要性の有無、それから、さっきの配偶者の同意要件、とりわけ薬を飲むこと、母体保護法十四条は、医師が中絶する場合にはと書いてあるので、薬を飲む場合に配偶者の同意要件は要らないとも考えられますが、いかがですか。
056 浜谷浩樹
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○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 まず、薬価、値段につきましてお答え申し上げます。経口中絶薬につきましては、昨年十二月に薬事申請がなされておりまして、現在、PMDAにおきまして有効性、安全性等の承認審査を行っております。
 この薬価でございますけれども、一般的に、当該薬剤を製造する企業からの薬価収載希望があり、中医協で了承されたときに、治療として、今回は治療として中絶が必要な場合につきまして保険適用となります。その際の具体的な薬価につきましては、今後、薬事承認がされ、薬価収載希望がなされた後に中医協で議論することとなります。
057 橋本泰宏
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○政府参考人(橋本泰宏君) 配偶者の同意の件でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、経口中絶薬が承認され、経口中絶薬を用いた人工妊娠中絶を行う場合におきましても、母体保護法に基づきまして、原則配偶者の同意が必要になると考えております。
058 福島みずほ
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福島みずほ君 これ、入院を必要とするんですか。結局日本って中世なのかと思うんですが、中絶費用が莫大なお金が掛かるし、病院へのアクセスもすごく困難であると。だから、毎年毎年というか、たくさん、トイレで赤ん坊を産んで遺棄したとか殺したとか、そんな事件が後を絶たないわけです。一体どういう国に住んでいるのか。安心な避妊、中絶、もちろん出産、こういうことが保障されてない、中絶費用がばか高い、何十万ってみんな払えない、そういうところで本当に苦しんだり人に言えないというので悩んでいます。
 これ、入院を要件としますか。それから、私自身は、私がある薬を飲むことについて配偶者の同意が必要というのはまさに変だというふうにも思いますが、どうですか。
059 鎌田光明
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○政府参考人(鎌田光明君) まず、この経口中絶薬を飲む際に入院が必要かどうかということについて、薬事上の対応でございますけれども、結論から申し上げますと、今まさにその点を審査中でございますので、予断を持ってお答えすることはできません。投薬の管理、入院管理、医師の下で管理をするのかですとか、その際入院必要かどうか、まさにそれは、今企業の申請を踏まえて審査中でございますので、そうした安全性の確保、御指摘の入院管理も、必要かどうかを含めまして承認審査を適切に行ってまいりたいと考えているところでございます。
060 福島みずほ
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福島みずほ君 WHOのガイダンスとガイドライン、これしっかり厚生労働省の方でも理解してほしい。安心、安全でより良いアクセスを持つ安心な中絶、リプロは必要だということですので、是非、諸外国では中絶薬を飲むに際して入院やいろんなものは要件となっておりません、値段も七百円とか千円です。日本だけこれをばか高くまたつり上げるのか、難しくするのか。そうしたらまた、より良いアクセスというのはできないんですよ。悲劇が、悲劇と言ったら変ですが、望まない妊娠をし、中絶ができず、望まない出産をしてどこかに遺棄するとか殺すとかという事件を日本でなくしたいんですよ。みんながどんなひどい思いで、というか、どんな思いでたった一人でトイレで赤ん坊を産むのかなと思うと、もう本当にそういう事件、そういうことをなくしたいと思っています。制度がそれを保障しない、おかしいですよ、本当に、本当におかしい。中世なのかと本当に思うので、是非ガイドライン、ガイダンスに従ってやっていただきたいと思います。