リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

7月10日付の朝日新聞の記事に「性体験の低年齢化 10代・大人はどう見る」というのがあったようです。原文は下記にありますが,要点をご紹介します。

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200607100091.html

 横浜市内のある産婦人科医院。10代で中絶に来る子には、相手とその親計4人が朝7時に集まるよう求める。院長は「親の前で説教する。言わないと繰り返すから」と語る。10年ほど前に比べると、13〜16歳の中絶、出産は多くなったという。

 「東京都幼・小・中・高・心障性教育研究会」の調査では、高校3年生の性経験率は、男子は84年に22%だったのが02年に37.3%、女子は12.2%から45.6%となった。
 10代の中絶数は全国平均で、92年に1000人あたり6.8件で、01年には13件と倍増。03年は11.9件とほぼ横ばいになっている。

 厚生労働省が04年末、全国3000人の男女に実施した調査では、過去1年に性交渉をして毎回避妊したのは、16〜19歳男子で54.5%、女子は31.3%にとどまった。

下記のコメントも:

 東京都港区の産婦人科「赤枝六本木診療所」には、中絶や性病を何度も繰り返す少女も来る。「彼がコンドームを着けてくれない」という。夏休みや冬休みの後に増える。赤枝恒雄医師(62)は、7年前からカフェなどで若者に街角相談をし、コンドームの着け方教室も開く。「最初の段階で教えないと、とんでもないことになる」

 日本家族計画協会クリニック(北村邦夫所長)は、病院に行かずに妊娠や性感染症などに悩む女子生徒向けにリーフレットを作った。悩みを抱えないためにも産婦人科などの病院に行くことは必要と考え、女子生徒の声を参考に「親に知られないか」「お金は」などわかりやすく案内している。ゲームセンターや、プリクラの中などに置く予定という。

 「子どもたちは、ある意味で社会の被害者。自分の身を守ることができるように、性情報を含めた情報の読み解き方も教えるべきだ」。京都大学の木原雅子助教授(52)=社会疫学=は、そう話す。
 これまで、20万人以上の中高生らに性行動調査をしてきた。「性行為を前提にするのでなく、丁寧な人間関係を築くことの大切さを伝えることが必要」という。
 10代の若者は、漫画やビデオ、ネットなど、あふれる性情報にさらされ、性交渉をせかされていると、感じている。

“性のネットワーク化”といわれる現象のことも,下記のとおりちらりと載っていました。エイズ・パニックが起こることは望ましくないけど,以前,同じデータを用いて講演なさったMr.木原のお話では,もっと危機的な状況だとの印象を受けました。先進国でHIV感染者が増えているのは日本だけです。その由々しき事実を,マスコミはもっと報道すべきだと思う。

 木原さんらが実施した04年の全国公立高校生1万人調査によると、高校生のうち性交渉に肯定的な生徒は全体の7〜8割だった。高1男子以外は、性経験者のうち相手の人数が「4人以上」と答えたのは、約2割もあった。

 望まない10代の妊娠・中絶や性感染症の流行を防ぐため、木原さんは5年前から中学高校でエイズ予防プロジェクトを始めた。生徒自らが感染する可能性があることや人間関係をゆっくり結ぶ大切さなどを教えている。

中高生っていうと,うちの娘もあと10年もないわけで,そう思うとますます性教育問題が他人事ではなくなってくる……。