リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

1ヤミ堕胎時代の方法

わたしの情報網に下記の質問が引っかかってきた。

どこまでシリアスな質問なのかが分からないので,わざわざIDを取得してまで返答する気持にはなれないのですが,もしgooのIDをお持ちで答えを知らせてあげたいとお思いになる方がいらしたら,ここに答えがあるよと質問者にお知らせください。

No.2463027 質問:ヴェラ・ドレイクの疑問(ネタバレ)
質問者:netsurfin 主人公の主婦が家族に隠れて中絶処置を施してきたお話だったと思うのですが、そのやり方は当時普及(?)していたものなのでしょうか?
女性器からチューブで石鹸水を注入すれことで胎児を死滅させてしまうのでしょうか??
…たしかにいい影響が出る処置には見えませんでしたが(苦笑)物語の中核を成す部分なのでどの程度信憑性のある描写なのか、ご存知ある方に伺いたいです。
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?qid=2463027

主人公のヴェラが無償で提供していた中絶サービスの方法は,当時のヨーロッパ(この映画の舞台は,中絶合法化以前の確か1950年代のイギリス)における非医療者による「ヤミ堕胎」ではわりと広く行なわれていたものだと思います。ただし,映画のなかでもそうだったように,こうした素人による堕胎で感染症にかかり死亡する例は少なくありませんでした。

なお方法に関する詳細は,真似をする人がいると困るので書きませんが,あの方法で堕胎が生じるのは「石鹸水で胎児を死滅させる」ためではありません。また,「女性器にチューブで注入」というのも不正確な把握です。もしかしたら映画制作者も,見た人が真似したりしない程度に具体的なやりかたをぼやかして描いたのかもしれません。いずれにしても,あの映画におけるヴェラの中絶方法の描写は,史実にもとづいた非常に信憑性のあるものだと思います。