リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

讀賣新聞のサイトによれば,

赤ちゃんが生まれる前に父親を特定する「出生前親子鑑定」について、日本人類遺伝学会と日本遺伝子診療学会は20日、裁判所の命令など法的な措置を除き、鑑定に必要な妊婦からの羊水採取を実施しないよう求める要望書を、日本産科婦人科学会などに送付した。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20061121ik02.htm

毎日新聞にも同様の記事がありました。→ http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061121k0000m040074000c.html

読売では,「親子鑑定が安易に行われるようになると、将来、男女の産み分けなど不適切な遺伝情報の使用につながる恐れがある」,毎日では,人類遺伝学会などは、安易な妊娠中絶や不適切な遺伝情報の使用につながる恐れがあると指摘している」と報じているけど,どちらも,そもそもどうして「父親特定」が必要になるのかという“問題”には触れていない。

妊娠の相手の男性が誰かということとは無関係に,女性がひとりで妊娠した子どもを産むかどうかを決定できる世の中ならば(産み育てるための心配をしないですむなら),そんな技術が使われることもないはずなのに……。ちなみに,ある企業のサイトを見たところ,出生前親子鑑定の費用は10万円前後でした。これを高いと思うか,それとも安いと思うか……? そこまでやろうとする“利害”が絡んでいる人にとっては,決して高いお金ではないのかもしれないけれど。

そしてまた,鑑定の結果が黒の場合,あるいは白の場合に,いったい何が選択され,女性の身体に何がなされるのか……ということも,見落としてはならない点であろう。