リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

映画「4ケ月、3週と2日」公開

昨年、カンヌでパルムドールを受賞した際にご紹介したこの映画が、日本でもいよいよ3月から封切られます。

朝日新聞は次のように報じています。(映画評そのものの部分はカットし、このブログでの関心部分のみ引用。以下同じ。)

カンヌで最高賞受賞 ルーマニア映画に熱い注目

2008年02月22日15時41分

 世界の映画祭でいま、ルーマニア映画が熱い注目を集めている。89年の共産党政権崩壊時に学生だった世代が、新たな視点で祖国の現実を語り始めたからだ。「4ケ月、3週と2日」で昨年のカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールに輝いたクリスティアン・ムンジウもそのひとり。「歴史や政治ではなく、普通の人々があの時代をどう生きたかを描きたかった」と語る。

==中略==

 「4ケ月〜」は、彼の長編第2作。チャウシェスク政権末期の87年、友人のために非合法の中絶医を探す女子大生の1日を描く。独裁国家の重苦しい空気や密告社会の残酷さを、音楽やクローズアップを一切排した長回しの映像でスリリングに切り取る。

 「友人の女性の実体験をもとに脚本を書いた。闇医者にかかるためどんな犠牲を払い、人生がどう変わるのか。主人公と一緒にその場にいるような生々しい感覚を観客に与えたかった」

 ルーマニアでは富国政策の一環で66年に中絶が禁止された。「68年生まれの僕らはその恩恵を受けたベビーブーム世代」。だが、違法中絶や捨て子の横行も招いた。「当時を知る人なら何か思い当たることがあるはず。モラルなき時代を象徴する現象です」

==後略==

サンスポは次のように報じています。

2008年02月22日 更新

【シネパラ】独裁政権ルーマニア舞台「4ヶ月、3週と2日

 自由がなく、女性の権利さえ奪われたチャウシェスク大統領の独裁政権末期のルーマニアを舞台に、女子大生のヒロインが、望まない妊娠をしてしまったルームメートの違法な中絶を手助けする張りつめた一日を描いた新しいタイプの女性映画。2007年カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞した。

 当時のルーマニアは工業化に必要な労働力を確保するため女性には最低3人の子供を産めと押しつけ、中絶には厳しい懲罰刑が科せられていた。こうした時代考証を踏まえ、細やかな演出と大胆なカメラワーク、出演者たちの息詰まる熱演で、圧倒された。

==中略==

 ルーマニアの俊英クリスティアン・ムンジウ監督が訴える、個人の自由が著しく制限された社会で人間らしく生きることとは? ヒロインを通じて一つの答えを出していることも興味深い作品だ。

(石山真一郎)

なお映画のオフィシャル・サイトはこちら。(冒頭の写真もここでお借りしました。)