リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

世界人口デー

7月11日は世界人口デーUNFPA(国連人口基金)によれば、世界中140ヵ国が家族や共同体や国家の幸福(well-being)のために家族計画の重要性を確認する日なのだという。

この日にちなんでか、中国情報局というニュース・サイトに「かつては「避妊・中絶禁止」だった中国」という記事が載っていた。あるブログの記事を日本語に訳したものらしい。

  現在の中国では厳しい人口抑制政策「一人っ子政策」が推し進められているが、かつては多産多生を推奨し、「避妊・中絶」をも禁止するほど、人口増加政策を進めていた。中国国内に避妊具の持込を防ぐため、税関にまで通達を出すほどであったという。このブログは世界と中国の人口について述べたものであるが、ブログを見たユーザーからは「多すぎる人口は悲劇だ」などといったコメントが寄せられていた。以下はその話題のブログより。

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  毎年7月11日は、国連人口基金によって制定された「世界人口デー」であり、2008年で19回目を迎える。近年、人口増加のスピードはますます増加しており、1804年に10億人に達した世界の人口は、123年後の1927年には20億人に、そして1999年10月12日には60億人を突破した。

  今となっては信じられないかもしれないが、1953年、中国共産党中央衛生部は「避妊具の輸入および持込を禁止するよう」税関に通達を出している。中央政府の指導者たちが、多くの「革命の後継者」たちの確保のために多産多生を推し進めた時期であり、避妊と中絶を禁止していたのである。1957年までは、特殊な事情がない限りは中絶は全て自費で行なわなければならなかったのだ。

  半世紀を経て、中国の人口における概念は根本的な変化を遂げたが、かつての人口増加政策は1950年に5.5億人だった人口を、現在の13億にまで増加させた。しかし、世界規模の人口増加速度に比べれば、まだましと言うことが出来るだろう。

  かつて、「貧しければ貧しいほど多産になり、多産によって更に貧しくなる」という言葉があったが、それを裏付ける資料がある。地域ごとの2050年までの人口統計予想を見ると、発展諸国の平均人口増加率は−0.2%となっているが、未発展地域の増加率は1.5%である。ちなみにアジア全体では1.3%、中国は0.7%である。

  現在、世界人口デーのコンセプトは「人口増」ではなく、「健全な生殖」へと変化していおり、中国国家人口・産児制限委員会も「健全な生殖は一つの権利である」とのテーマを打ち出しているのである。

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(出典:馬暁年BLOG意訳編集)

日本も第二次世界大戦後に世界に20年も先駆けての中絶合法化を行い、経済成長のために人手不足になると、突然、中絶非難が始まり、少子化問題が騒がれるようになってからは、世界の趨勢に逆行する反リプロダクティヴ・ヘルス&ライツ論が盛んになっている。

国の人口政策で個人の性と生殖がふりまわされるのはもうごめんだ。リプロダクティブ・ヘルス&ライツは基本的人権であるという根本思想を、再確認しておきたい。