リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

性犯罪が放置される国ジャパン

2009/3/3付けのJapan Timesで見つけた記事です。

Rape victim fights for justice against U.S. military, Japan

By DAVID McNEILL

Around the nondescript Tokyo suburb where she lives with her three children, Jane is a well-known face. Foreign in an area crowded with Japanese, she has taught English for years here among neighbors who greet her warmly on the street. Few know that her life is consumed by a fight against one of the world's most powerful military alliances, and a secret agreement that she says allows its crimes to go unpunished.

In a room cluttered with the detritus of her seven-year struggle she tells her story, which begins with a violent sexual assault. On April 6, 2002, Jane was raped by American sailor Bloke T. Deans in a car park near the U.S. Yokosuka Naval Base southwest of Tokyo. Shocked and bleeding, she ended up in the small hours inside the local police station, where what she calls her second violation began.

During a 12-hour interview with a team of male cops that stretched into the middle of the next day, she was "mocked," refused food, medical aid and water, and treated like a criminal. Her demands for a container for her urine, which she believed contained the sperm of her attacker, were ignored until, crying with rage and frustration, she says she flushed the evidence of her rape down the station toilet. Then she was taken back to the car park, where she was forced to re-enact the assault for police cameras.

……

つづきはこちらで。日本駐留の米兵によるレイプの被害者が、7年間に渡る正義を求める闘争について記者会見を行ったという記事です。日本の警察によるセカンドレイプの問題も指摘されています。

日本のマスコミは報道していないかと探したところ、琉球新報が「検察審に不服申し立てへ 米兵から暴行のジェーンさん」という次の記事を2008年12月23日付けで書いていました。

検察審に不服申し立てへ 米兵から暴行のジェーンさん2008年12月23日

【東京】2002年に神奈川県横須賀基地所属の米兵に暴行を受けたが、同年の刑事事件で不起訴とされたオーストラリア出身のジェーンさん(仮名)=東京都在住=と弁護団は22日、日本外国特派員協会で会見を開き、年明けに検察審査会に不服申し立てすることを明らかにした。神奈川県警の配慮を欠く捜査対応で精神的苦痛を受けたとして同県を相手に損害賠償を求めた訴訟の控訴審が10日に棄却されたことを受け、22日付で最高裁に上告したことも発表した。
 これまでは2人の弁護士だったが、上告審では米軍犯罪や性犯罪を専門とする弁護団木村和夫団長)が結成された。現時点で40人が集まっている。
 検察審査会は、くじで選ばれた国民が審査員となり、不起訴となった事件を審査する。起訴すべきとの結論になれば、検察官は事件を再検討する。起訴が相当だと判断されたときは、起訴の手続きが取られる。
 会見で、高橋宏弁護士は「ジェーンさんはつめがはがれ両足を打撲するなど全身に負傷していた。これだけの傷を負ったのに、不起訴とされたのはおかしい」と指摘した。さらに、米兵犯罪について「重要案件以外は日本は第1次裁判権を放棄する」とする日米合意の文書が9月に米公文書館で発見されたことに言及。「神奈川県警の体質にも問題があるが、むしろ密約に沿う形で警察の捜査が行われたことに問題がある」と述べ、警察対応の根底には日本側の裁判権放棄の密約があると主張した。
 ジェーンさんは「米兵が日本で殺人や暴行を犯しても逃げられるのは不合理だ。日本の責任でもある。裁判で正義を勝ち取りたい」と話した。

2月末に外国人記者クラブで被害者の女性が記者会見を行ったとのこと。この記者会見について2009/2/28付けの「しんぶん赤旗」は次のように書いていました。

被害者の声 聞いて
横須賀基地米兵暴行 豪女性が会見

 在日米海軍に性的暴行を受けたオーストラリア出身で四十歳代女性のジェーンさん=仮名=が二十七日、国会内で記者会見し、「被害者の声に耳を傾けてほしい」と訴えました。沖縄での女子中学生暴行事件に憤るジェーンさんは、来日したライス米国務長官に、思いをつづった手紙を手渡したいとのべています。

 ジェーンさんは二〇〇二年四月、米海軍横須賀基地所属の米兵に神奈川県内で暴行されました。米兵は事件後、除隊。裁きを受けず、米国へ。ジェーンさんは「いま自由に歩き回っている加害者が許せない」と悔しさをにじませました。

 会見で「いま思い描いている絵がある」と切り出したジェーンさん。「それは戦争がない世界。レイプのない世界です。それを実現させるためには、私のようなレイプ被害者が無視されることなく、沈黙を強いられることがないようにしなくてはいけない」と語りました。

 そして、「私は声を上げることを恥じていない。本当に恥じるべきは私たちレイプ被害者を無視し、事件が起こり続けていることを否定している政府だ」とのべました。

 「在日米軍による犯罪・事故の被害者の会」代表の椎葉寅生さん=神奈川県=は、米兵の事件・事故が次々と起きていることを指摘。「そのたびに『綱紀粛正』や『教育の徹底』というが、実効性がないことは明らかだ。一日も早く、私たちのような被害者を生まないためには、基地がなくなること以外にない」とのべ、被害者に力を貸してほしいと訴えました。

全くもってリプロ以前のなげかわしい話です……こうした事件が大問題にならないという事実に、国家間の政治のなかで、女性個人の人権など捨て置かれている現実が露呈されているのではないでしょうか。