リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

性犯罪被害者の中絶費用

本日付中日メディカルによれば、性犯罪被害者救済のための中絶費用の公費負担額が自治体によって上限が定められているそうです。

 国と都道府県が性犯罪被害者の救済を目的に実施している公費負担制度で、強姦(ごうかん)の被害者に対する人工中絶費用の支給に、16道府県が財政難などを理由に上限額を設けている。

 警察庁は被害者への中絶費用の上限を撤廃するよう求めている。上限額を超えた分は被害者が支払わなければならず、精神的、肉体的負担とともに経済的な負担も強いられることになる。救済に地域差が生じている実態が浮かび上がった。

こうした「性犯罪被害者への公費負担制度」は2006年度に始まったもので、国と都道府県が折半して医療費を支給しているそうです。

警察庁犯罪被害者支援室がまとめた今年4月現在の「性犯罪被害者への公費負担制度の運用の現状」によると、支給上限額を設けている16道府県の人工中絶費用で、最低額は9万円(山形県)、最も多いのは17万5千円の和歌山県(いずれも国の負担を含む)。上限を設けていない31都県では全額が支給される。

中絶費用は、妊娠初期と中期以降では大幅に異なります。また、地域によっても若干の差があります。

 中絶手術にかかる費用は保険医療ではないため、医療機関で差があるが、日本家族計画協会の北村邦夫専務理事によると、一般的に、妊娠初期(11週まで)の場合は約13万円、中期(12週以降)は30万〜40万円かかる。

私たちの調査によれば、料金はかなり幅がありました。上記の妊娠初期の数字は少々高めのように思われます。都会ではこれくらいが平均かもしれませんが。

そもそも健康保険の対象外になっていることは、日本の中絶医療が標準化されず、改善されない一因ではないでしょうか。