リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

出生率・中絶率の統計

忘備録です。国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集2012年版はこちらにあります。

各年版を見比べていて気づいたのですが、「人工妊娠中絶経験者の割合:1952〜2000年」の統計は、これ以降取られていないのですね。2003年版から2008年版まで同じ2000年までの資料が掲載されており、その後は掲載されなくなったようです。

「50歳未満の既婚女性を対象」としたこの調査によれば、2000年の数値で(人工妊娠中絶を)「受けたことがない」71.0%に対して、「受けたことがある」は24.9%で、そのうち「1回」限りが16.8%と多数派でした。最近の日本の結婚年齢は平均30歳前後のはずであり、中絶経験率は20代が比較的高いので、未婚の中絶経験率はもっと高くなると考えられます。

各国比較を見ると、日本の中絶率(2010年で7.9)は他の先進国に比してぐんと低いのが目を引きます。国連の報告書などでも、日本は中絶率が低く中絶時期も早い(ほとんどが妊娠12週までの初期中絶である)と書いてあったのを思い出します。

さて、人口問題研究所の統計に戻って、ついでに合計特殊出生率も見てみました。年齢別の経年比較を見ると、日本の出生率の山がぐぐっと低くなっていくと共に若干高年齢側にシフトしていく様子が見てとれます。ちなみに2010年の数値は1.39。大幅回復はなかなか見込めないのだから、それなりの社会政策をしてもらわねば。

また各国比較で目立つのは、日本と韓国が非常に似たパターンを示していること。韓国の人口政策はどうなっているのかな・・・気になります。もうひとつ目を引くのは、出生率の高い国々が日本より若い年齢層での出生率が高いこと。デンマーク(2008年1.84)やスウェーデン(2009年:1.94)の北欧諸国も、日本同様に「30代前半」の駆け込み出産?現象らしき傾向が見られるけれど、全体で産む率が全く違う。産み育てやすい国にすること、女がキャリアと家庭を両立しやすい国にすること、そのためにも女性自身が自分のリプロをコントロールできるようにすることが、何よりの少子化対策であるはずです。