リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

性犯罪被害者救済に地域差、中絶の公的支援認めない県も

「医療ニュース」にあった日本産婦人科医会調査に関する記事を紹介します。

 性犯罪の被害者には、精神的・肉体的負担だけでなく、人工妊娠中絶や性感染症検査の費用など経済的な負担も掛かる。これを解決すべく制定されたのが、国と各都道府県警察による公的医療支援を盛り込んだ「性犯罪被害者基本法」だ。しかし、日本産婦人科医会が昨年から今年にかけて行った調査によると、公的支援の金額に上限があったり、性犯罪被害であるにもかかわらず、人工中絶に対する公的支援は認めないとする県もあったという。同医会常務理事の安達知子氏(愛育病院産婦人科部長)が、12月12日に東京都内で開かれた記者懇談会で明らかにした。

 
 2004年に制定された性犯罪被害者基本法と、2005年に作成された基本計画では、被害者の救済を目的とした人工妊娠中絶費用や性感染症検査費用など、医療費の公費負担制度(国と各都道府県の警察が負担)が盛り込まれ、2006年から公費負担が開始されたそうですが、各都道府県によって温度差があるのが実態のようです。

日本産婦人科医会が各都道府県産婦人科医会を対象に行った「性犯罪被害者の公的医療支援の調査」(調査期間2011年12月〜12年1月、回収率100%)によると、初診時の公的支援に上限を設けている県が8つあったという。

 上限額を見ると、例えば岡山県だと性犯罪被害者全体で年間100万円余り。佐賀県は1人当たりの1万5,000円までで、「昨年、承認された緊急避妊薬レボノルゲストレル(商品名ノルレボ)の使用を考慮したら、1万5,000円は少ない」と安達氏は指摘する。

他に、10県は再診については公的支援を「認めない」、3県は性犯罪被害が原因の中絶への公的支援を認めないとされています。

リプロダクティヴ・ライツの中身が住むところによって扱いが変わってしまう(場合によっては否定されてしまう)のでは、人権が守られているとは言えないですよね。