リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本人の意図せぬ妊娠率は30-50%

書類の整理をしていたら次の論文が出てきて,その中に"Paper presented at the Annual Meeting of the Population Association of America in Atlanta, May 9-11, 2002"としてIwasawa, Miho (2002) "Estimation of unintended fertility in Japan"という論文の内容が次のように引用されていました。

Iwasawa (2002) proposed a mode to estimate the number of conceptions during the course of one year by all Japanese women of reproductive age, and suggested that the percentage of unintended pregnancies could be between forty and sixty percent and the amount of unintended births could be between thirty and fifty percent of all births in Japan in 1997.

とても興味深いです。1997年と少々前ではありますが,全出産の30〜50%が意図せぬ妊娠というのは,あまりにも高い数値です。

それで思い出したので,ついでにメモっておきます。H22年発表の厚生労働省の「出生に関する統計」によると,一定の「仮定に基づき試算した結婚期間が妊娠期間より短い出生数及びその嫡出第1子出生に占める割合をみると、平成7年から14年にかけて年々増加していたが、それ以降は減少に転じている。平成21年の母の年齢階級構成で標準化して年次推移をみると、14年以降も増加傾向となっているが、19年以降はほぼ横ばいで推移している。」

この統計報告によれば,婚姻カップルのもとに誕生する第1子の4人に1人ができ婚による子どもということになります。

しかも,『平成17年版 国民生活白書』によれば,若い世代ほど「でき婚」が多いのです。そして,若年の離婚も非常に多い! 私の身近にも,「でき婚」して1年もしないうちに離婚し,子どもを連れて実家に戻ってきた若い女性がいます。若い年で離婚して,子どもを引き取る女性は,でき婚のために学業を途中で諦めていたりして,そうでなくとも仕事に就きにくいのに,ますます就業可能性が狭められていき,貧困に陥っていく人も少なくない。「でき婚→離婚→シングルマザー」の道はとても険しい。一方の男性は,離婚時に取り決めた養育費をきちんと支払わない人も決して稀ではないようで,とても理不尽だと思う。

私の周囲でも,今年はなぜか結婚ラッシュなのですが,年内に結婚するカップルのほぼ半数が「でき婚」です。でき婚の成否は,予定外の事態にどれだけ適応していけるかにかかっているとか。そのためには,二人でいっぱい相談し,心を合わせて過程を築いていくという覚悟が必要です。みんな良き家庭を築いていってくれることを願います!