リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

カンザス州でD&Eの禁止

英語版の毎日新聞の記事:Kansas governor signs nation's 1st ban on abortion procedureについて。

日本では妊娠初期の拡張掻爬術(D&C)と妊娠中期の拡張除去術(D&E)がほとんど区別されておらず,また日本の中期中絶では陣痛誘発剤プロスタグランジンを使うのが通例なので,こうした記事の意味がよく伝わらない可能性があるので,少し解説しておきます。

海外では,妊娠初期の中絶は薬(ミフェプリストンとミソプロストールの組み合わせ)あるいは吸引(手動吸引器または電動吸引機使用)を用いるのがスタンダードで,妊娠中期以降はミフェプリストンを用いた薬剤法(内科的手法)と並んで,外科的手法では頸管拡張した上で鉗子などの器具と吸引機で子宮内容除去を行うD&Eが最も安全だとされています。

なお,日本で一般的なプロスタグランジン等の陣痛誘発剤による中期中絶は,海外では女性にも医療従事者にも負担の多い方法として好まれていません。