リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

海外では薬による中期中絶で頸管拡張をしていない!

薬を変えればラミナリア、ダイラパンなど痛い頸管拡張が不要になるかも?

WHOによれば、妊娠12週以降の中期中絶の安全な方法は、ミフェプリストン&ミソプロストールを組み合わせた中絶薬を用いるか、D&Eと呼ばれる外科手術の2つがある。

日本では、製品名プレグランディン(プロスタグランジンE1誘導体製剤)という膣座薬を用いるのが一般的だが、前処置としてラミナリアやダイラパンといった子宮頚管拡張材を未経産婦の場合は前日に膣に入れる。初期中絶でもこの頸管拡張処置が行われることがある。

ところが、海外の文献を読んでいてはたと気づいたのは、この頸管拡張(英語ではCervical Preparation=頸管の準備という言葉がよく使われる)がでてくるのは第2三半期(いわゆる妊娠中期)の「外科的中絶」の前処置の場合のみなのだ。妊娠中期の薬による中絶(Medical Abortion)で頸管拡張をしているものはないかと、様々な文献にあたったのだけど、やはり出てこない。いらない、と考えられているようである。

おそらく、海外で用いる中絶薬のミフェプリストンもミソプロストールも頸管を柔らかくする効果をもっているためだろう。むしろ、最近の文献では、ミソプロストールの投与法を工夫することで、副作用として「痛み」を伴うラミナリア等を使うのと同等の効果が得られたと報告している例もある。
Cervical preparation for first trimester surgical abortion


関連情報を挙げておく

ミフェ・ミソを中期中絶に使うことに前向きの文献
The use of misoprostol and mifepristone in second trimester interruption of pregnancy: State of art

プロスタグランディンEに関する情報
Prostaglandin E - an overview | ScienceDirect Topics

プロスタグランジン誘導体に関する1988年の日本人の研究
Prostaglandin derivatives, their preparation and their therapeutic use - Abstract - Europe PMC

販売名和名 : プレグランディン腟坐剤1mg
欧文商標名 : PREGLANDIN Vaginal Suppositories
販売開始年月 : 1984年8月

販売名和名 : サイトテック錠200
欧文商標名 : CYTOTEC Tab.200
販売開始年月 : 1993年3月
国際誕生年月 : 1984年6月

販売名和名 : サイトテック錠100
欧文商標名 : CYTOTEC Tab.100
販売開始年月 : 1996年12月
国際誕生年月 : 1984年6月