リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

アイルランド女性解放運動(IWLM)の避妊トレイン

Women’s Lib and Contraceptive Train1971

アイルランドでは2018年に住民投票で中絶が合法化され、カトリックの国としては画期的な事態と考えられているが、変化の兆しはすでに1970年代に始まっていた。


1930年代の教皇の婚姻のあり方や中絶禁止に関する回勅の影響で、アイルランドではそれまでは可能だった避妊具の売買が取り締まられるようになり、1935年から1980年まで法律で禁止された。


この避妊禁止に抗議するために、1971年にアイルランド女性解放運動(IWLM)のメンバー約50人は、英連邦下にある北アイルランドのベルファーストまで列車で「避妊具を買いに行く」アクションを決行し、この「避妊列車」は世界中のメディアを騒がせた。だが、実のところ、ベルファーストでは処方箋がないことを理由に避妊薬を購入できず、その代わりに女性たちはコンドームと避妊ゼリー、大量のアスピリンの錠剤を購入して帰り、マスコミの前で「避妊薬」だと偽ってアスピリンを飲んで見せるといったデモンストレーションまで行った。


こうした大胆な行動はアイルランドの女性運動に画期的な影響を与え、それまでの避妊に関するタブーを破るのに大いに役立ったと言われる。

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