リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和2年12月25日閣議決定)

完璧に「女性差別をなくす」視点が消えてしまった~生涯にわたる男女の健康の包括的な支援 これで「すべての女性が輝く」?……そんなわけないでしょ!

めまいがしそうなほど「ジェンダー平等」と「リプロ」の観点に欠けた計画だった。

読みたくなかったけど、しょうがない、いつかは読まねばと覚悟を決めて、2021年1月12日、いつもチェックしている女性の生涯の健康に関する内容を読み、思った以上の酷さに、一瞬、なにもかも投げ出したくなった……。

どこまで女をバカにしているんだろう! 男女共同参画基本法って英語では、Basic Act for Gender Equalityなんだよ!? 男性の健康管理のことをいっぱい盛り込んでいながら、女性のリプロについては婦人科系の病気と不妊治療のことのみ。ありえないでしょ、こんなの!? 女性の自殺増加についても全くの言及なしで、2016年の水準から引き下げるのが目標だなんて、何これ?

とりあえず目障りなので発表された日の過去日記に追いやっておく。いずれ全面的に取っ組まなければならないと思いつつも。

第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和2年12月25日閣議決定) | 内閣府男女共同参画局

説明資料

II 安全・安心な暮らしの実現 第7分野 生涯を通じた健康支援

第7分野 生涯を通じた健康支援
【基本認識】

〇 男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりを持って生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての大前提である。
〇 心身及びその健康について、主体的に行動し、正確な知識・情報を入手することは、健康を享受できるようにしていくために必要である。特に、女性の心身の状態は、年代によって大きく変化するという特性があり、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)の視点が殊に重要である。
〇 心身の健康は暴力や貧困などの社会的要因によって大きく影響を受ける面があるため、健康課題解決には、背景となる社会課題の解決が求められる。健康の社会的決定要因とその影響が男女で異なることなどに鑑み、性差に応じた的確な保健・医療を受けることが必要である。
〇 さらに、乳幼児・小児期からの生活習慣や虐待等不適切養育などの社会的要因が、成人後の生活習慣、社会的孤立、精神疾患等の原因になりやすいこと、また男性においては、健康を害する生活習慣や自殺やひきこもりの割合が女性に比べて多いことが指摘されている1。
〇 近年は、女性の就業等の増加、生涯出産数の減少による月経回数の増加、晩婚化等による初産年齢の上昇、平均寿命の伸長など様々な要因により女性の健康を脅かす疾病構造が変化している。
〇 加えて成育医療の視点から、学童・思春期からの健康教育を充実させると共に、全ての女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合えるような支援が必要である。
不妊治療を希望する男女が増えており、経済的負担の軽減や、仕事との両立支援が求められている。
〇 更年期の女性は、職場や社会において多くの役割を担う年代であり、その活躍は地域及び社会経済にとって重要である。更年期障害の程度や症状は個人差が大きいが、症状が重い場合であっても、就労継続やキャリア向上が妨げられないよう、更年期に関する理解や治療の普及を促進することが求められる。加えて、人生100年時代を見据え、更なる活躍や健康寿命の延伸のために、治療方法に関する周知も含め、更年期前後からの健康支援が重要である。
〇 これらのことから、国民のヘルスリテラシー(健康について最低限知っておくべき知識)を向上させるとともに、年代ごとの課題や、健康を阻害する社会的要因への対応も含め近年の女性の健康に関わる問題変化に応じた支援が必要となってくる。
〇 また、生涯にわたる女性の健康づくりを支援するには、女性特有の疾患に専門的に対応する医師を育成・増加させることも必要である。
〇 女性の就業率の高まりを踏まえ、職域における女性労働者の健康支援の取組を強化するために、産業医・産業保健スタッフに対して、女性の健康支援に関する研修の実施等必要な支援をすべきである。
〇 女性医師は、当事者としての立場からも、女性特有の健康課題に気付きやすいことから、女性の包括的健康支援を発展させるためには、医学・医療分野の意思決定に携わる女性医師を増やす必要がある。医師の働き方改革を進めるとともに、医療機関や関係団体の組織の多様化を図り、政策・方針決定過程への女性の参画拡大を働きかける。
〇 スポーツ分野においては、生涯を見通した健康な体づくりを推進するため、男性に比べて女性の運動・スポーツ習慣者が低いことに鑑み、女性のスポーツ参加を促す取組が必要である。
〇 また、女性競技者が女性特有の課題に悩むことなく、健康で活躍できる環境を整備するとともに、引退後も活躍できるような支援が必要である。
新型コロナウイルス感染症に対して不安を抱える妊産婦が安心して出産や育児をできるよう、助産師、保健師等による寄り添った支援を行うことが重要である。
〇 これらの観点から、男女が互いの性差に応じた健康について理解を深めつつ、男女の健康を生涯にわたり包括的に支援するための取組や、男女の性差に応じた健康を支援するための取組を総合的に推進する。

1
習慣的に喫煙をしている者の割合は男性 29.0%、女性 8.1%、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は男性 15.0%、女性 8.7%(厚生労働省「平成 30 年国民健康・栄養調査」)、自殺者の総数は男性が全体の 69.8%と女性の 2.3 倍(警察庁「令和元年中における自殺の状況」)、ひきこもりの男女比率は男性 76.6%、女性 23.4%(内閣府「令和元年版子供・若者白書」)。

参考:
第4陣男女共同参画基本計画について書いたログ