リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

保護責任者遺棄事件

一連の事件の報道

望まない妊娠を防げていたら、こんな事件に至らなかったのではないだろうかと考えずにいられない。

朝日新聞 2021年1月28日 11時51分
きょうも傍聴席にいます。
「生き地獄」の果てに 傷だらけの2歳児、命奪ったのは
前田健
 2019年6月5日早朝、札幌市中央区のマンションの一室で、2歳の女児の命が絶たれた。死亡時の体重は6・7キロ。同年代の平均の半分ほどだった。頭部には骨折や皮下出血、顔や肩などにはやけど。全身に多くのけがが見つかった。北海道警は虐待事件とみて捜査し、母親(22)と、同居していた交際相手の男(26)を傷害容疑で逮捕した。
 司法解剖の結果、死因は低栄養による衰弱死と判断された。母親と男は同年5月15日ごろから女児に必要な食事を与えず、けがの治療も受けさせなかったなどとして、保護責任者遺棄致死罪で起訴された。さらに男は、女児に暴行を加えて死亡させたとして傷害致死罪にも問われた。
 2人の裁判員裁判は20年9~11月、札幌地裁で別々に開かれた。裁判長は同じで、裁判官の構成と裁判員は異なる。2人はそれぞれ起訴内容を否認し、女児への暴行については、互いに「相手がやった」と主張した。
 検察側の冒頭陳述などによると、母親は16年12月に女児を出産し、札幌市の繁華街・ススキノの飲食店でホステスをしながら、シングルマザーとして子育てをしていた。男は店の客で、2人は19年2月ごろから交際を始めた。その約2カ月後には、母親のマンションで3人で一緒に暮らすようになったという。
 男の公判で、証人として出廷した母親は、男が女児に暴行を加える様子を何度も目撃したと証言した。
(中略)
 札幌地裁は10月に男に懲役13年、11月に母親に懲役9年の実刑判決をそれぞれ言い渡した。争点となった死因は「低栄養による衰弱死」と判断し、2人の保護責任者遺棄致死罪の成立を認定した。男の傷害致死罪については、女児の頭を多数回殴り、頭部全体の皮下出血などのけがを負わせたとしたが、暴行と死亡との因果関係は認めず、傷害罪の適用にとどめた。
 裁判長はどちらの判決でも、女児について「助けを求めることができず、孤独の中で衰弱死したのはあわれというほかない」と思いやった。男は表情を変えず、母親は時折涙を流して判決を聞いた。
 判決は、母親を「交際相手の男との関係や遊興を優先し、あまりに無責任だ」と批判した。その母親について、保育施設の保育士が振り返る場面が男の公判であった。女児を迎えに来たとき、しゃがんで片方ずつ靴を履かせていた。「愛情をかけて育てている」。手をつないで帰路につく、母子の姿にそんな印象を受けたという。
 2人とも判決を不服として札幌高裁に控訴した。第1回公判はいずれも3月16日に開かれる。(前田健汰)

神戸新聞2021/1/20 19:48
死亡の2日前、予定の健診に来ず 埼玉の乳児放置、町が対応検証へ 埼玉県美里町で生後3カ月の金井喜空ちゃんが死亡し、保護責任者遺棄致死容疑で両親が逮捕された事件で、喜空ちゃんが亡くなる2日前、受診予定の健康診断に来ていなかったことが分かった。原田信次町長が20日、記者会見して明らかにした。
 職員は連絡を試みたが家庭訪問はしなかったといい、原田町長は「検証委員会を設置し、何をすべきだったか考えたい」と述べた。
 町などによると、一家は生活保護を受給しており、児童相談所などでつくる地域協議会の見守り対象だった。昨年5月、四女の〇〇ちゃんが生まれた後、両親は新型コロナウイルスの流行を理由に町職員の家庭訪問を拒否していた。

神戸新聞2021/1/28 21:48
産婦人科に乳児置き去り、大阪 命に別条なし、カメラに女性の姿
 大阪市旭区産婦人科医院に25日未明、置き去りにされた生後間もない乳児が見つかっていたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。大阪府警が保護責任者遺棄の疑いで捜査している。乳児にけがはなく、命に別条はない。
 捜査関係者によると、乳児は男児で、医院の職員通用口前で新聞配達員の男性が見つけた。男児は毛布にくるまれ、書き置きなどはなかった。発見の数時間前には、医院の防犯カメラに何かを抱えて通用口に向かう女性の姿が写っており、府警が行方を追っている。
 配達員によると、午前4時ごろ、新聞を届けるため通用口を訪れると、水色の毛布に丁寧にくるまれた男児がいた。

神戸新聞 2020/9/5 17:34
逮捕の母親、幼稚園に「休む」 高松の2女児放置死事件 高松市で車内に15時間余り置き去りにされた女児2人が熱中症で死亡した事件で、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された母親の無職、T容疑者(26)が、2人が通う幼稚園に対し、新型コロナウイルス感染防止を理由に今月第1週は休ませると伝えていたことが5日、幼稚園への取材で分かった。
 容疑者は2日夜から3日昼まで2人を車に残し、死なせた疑いで4日、香川県警に逮捕された。2人を放置して夜通し、知人男性と市内の飲食店を少なくとも3軒はしごし酒を飲んでいたとみられ、県警は2人を休ませた背景を含め当時の行動や状況を詳しく調べている。容疑者は黙秘しているという。

神戸新聞 2020/7/22 02:08
3歳女児衰弱死、母を追送検へ 22日にも、5月も放置疑いで 東京都大田区の自宅で6月、3歳女児が衰弱死した事件で、母親の容疑者(24)=保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕=が、5月にも十分な食事を与えず女児を4日間放置したとして、警視庁は保護責任者遺棄容疑で22日にも追送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で21日、分かった。
 関係者によると、東京地検は、当時の精神状態を調べ刑事責任能力の有無を判断するため、東京地裁に鑑定留置を請求する見通し。
 K容疑者は6月上旬の8日間、長女〇〇ちゃんを置き去りにして鹿児島県に住む交際男性に会いに行っていたとして今月7日に逮捕された。

神戸新聞2020/6/12 「親に知られると、叱られる…」トイレで女児出産し放置 26歳女に執行猶予付き判決
 神戸市中央区の飲食店のトイレで女児を出産し放置したとして、保護責任者遺棄の罪に問われた住所不定、アルバイトの女(26)の判決公判が12日、神戸地裁であり、国分史子裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
 判決によると、3月31日未明、トイレで女児を産み、便器裏側の床の上に放置して立ち去った。女児の体に大きな影響はなかった。
 国分裁判官は「新生児をまるで物のように扱う態度は強い非難に値する」としたが、起訴内容を認めて反省している点などを考慮して執行猶予を付けた。

神戸新聞 2020/1/23 18:30
乳幼児4人放置し8時間パチンコ、生後3カ月の子が死亡 夫婦を逮捕 神戸市須磨区のマンションの自宅に昨年11月、子ども4人を放置してパチンコ店に出掛けたとして、兵庫県須磨署は23日、保護責任者遺棄の疑いで、神戸市須磨区の会社員の男(36)と妻の歯科衛生士(38)を逮捕した。2人の帰宅時に、生後3カ月の三男は意識がなく、搬送先の病院で死亡が確認されたという。
 逮捕容疑は昨年11月26日午前10時45分ごろから午後6時半ごろ、当時暮らしていた同区のマンションの一室に、いずれも実子の男女4人を放置した疑い。4人は、死亡した三男と長男(5)、長女(3)、次男(1)。同署の調べに、「パチンコ店でスロットをしていた」などといずれも容疑を認めているという。
 同署によると同日午後6時半、帰宅した男が「三男の意識と呼吸がなく、体が冷たい」と119番。三男は搬送先の病院で死亡が確認された。病院から同署へ通報があった。2人は同署の調べに当初、「家族6人で昼寝をし、気付くと三男が毛布の下に潜り込んで意識を失っていた」などと供述していたが、その後の調べでパチンコ店近くの防犯カメラに夫婦で写る姿が確認されたという。
 2018年には長男と長女が家の近くを徘徊したとして、須磨署が「育児放棄(ネグレクト)の疑いがある」と神戸市こども家庭センターに通告したこともあった。所管する須磨区こども家庭支援課の職員は「育児が不十分な恐れがある」として、養育状況を確認するために17年11月以降、約20回の自宅訪問を実施。神戸市こども家庭局は取材に「きめ細かな対応をしてきたつもりだが、問題がなかったか検証したい」とコメントした。
 同じマンションの男性(44)は、子どもと歩く男の姿を何度か見かけたときに「しつけのためか、子どもの頭を強くたたいていた」と話していた。

続報
神戸新聞 2020/1/29 23:30須磨の放置乳児死亡事件 神戸市が検証委設置へ 今月23日、神戸市須磨区のマンションに子ども4人を放置した両親が保護責任者遺棄容疑で兵庫県警に逮捕された事件を受け、久元喜造市長は29日、外部の専門家による検証委員会を設置する方針を示した。事件は昨年11月に起き、生後3カ月の三男が死亡した。放置との因果関係は解明されていないが、事実関係などを精査するという。
 児童虐待防止法は「児童が心身に著しく重大な被害を受けた事例」は、虐待の防止のために調査研究や検証を行う-と定める。最近の同市では2017年に、相次いで2件起きた保護者による無理心中について、検証委の報告書が提出されている。
 今回の両親については、長女が乳幼児健診を受けなかった17年11月以降、所管する須磨区こども家庭支援課が約20回の訪問や38回の電話連絡で養育状況を確認していた。検証委について市こども家庭局は「できれば19年度中に設置したい」としている。(上杉順子)